いつも困っている

家事と育児(三人姉妹で二人は双子)に対峙する男の日々

パニック行動に困る!<上>(自閉症児篇)<頻発するよく分からない行動>

「これはパニック行動なのだろうか?」(長女5歳)

 

困ったことがあった。

 

自閉症児の長女は最近とても落ち着いてきた。言語認識などは平均よりも下回るとはいえ、それなりに言葉が使えるようになってきたというのもあって、本人も、最低限の欲求を伝えることができるようになったのか、以前のように癇癪を起こしたりすることはなくなってきた。

 

とはいえ、ちょっとしたことで泣き出してしまったり、突然、何の返事もしなくなったりすることはある。まあ、この辺も、自閉症児を見慣れていない人にとっては、子供はみんなそう、と言われてしまう範囲かもしれない。

 

そんな長女が5歳になるちょっと前から、繰り返しする行動がある。

 

急に、上を向いて、右手を振って、「ケシケシ」と言っている。

 

「何をしているの?」と僕が聞くと、

 

「消しゴム」という答えが返ってきた。

 

しばらくすると、「ケシケシ」の前に「アムー」と言うようになった。いまでは、軽く上を向いて「アムー」、そして右手で弧を描くようにして「ケシケシ」と、毎回言っている。

 

次女と三女は長女よりも論理的に喋るようになってきたというのもあるからか、たまに長女の言動について質問をしている。

 

「アムーってなに?」と次女が聞いていた。

 

「ペン」と答えていた。

 

これだけなら、ちょっと風変わりな女の子という感じだし、その行動は少し可愛いところもあるので微笑ましく見ることもできた。ただ、回数が多い。1日に何度もやっている。また、誰にも見られていないところでもやっている。台所などにいるときに、リビングにいる長女が「アムーケシケシ」と言っている声が聞こえてくることもある。

 

これは一体なんだろうか?

 

保育園でやっているか聞いてみた。保育園でやっているのは見たことがないと保育士さんに言われた。その後、何回か長女が「アムーケシケシ」とやっているのを見たという報告があった。その行動はとても可愛らしいので、保育士さんも園長も、子供の可愛い行動として微笑ましく見たそうだ。

 

「園長とも話したんですけど、あれは、メイクか何かやっているのかもしれませんよね、かわいいですよね」

 

ということだった。

 

僕らも最初は可愛い行動だと思った。しかしあまりに頻発するのと、その行動が起こる状況を観察していると、可愛いだけで済まないような気がしてきた。

 

長女が「アムーケシケシ」とやるとき、それはある種の変化や、思う通りにいかなかったとき、何かを中断するとき、別の行動に移るときなどに起きていた。とくに、次女三女の行動が活発になってきたということもあって、長女の思い通りにならないことはとても増えたのか、家で「アムーケシケシ」は頻発している。

 

もしかしたら、「アムーケシケシ」は、今までであれば癇癪などになっていたパニック行動が、長女によって様式化された行動なのではないだろうか、と考えるようになった。

 

パニック行動を調べていると、パニックの原因を解決するということがよくでてくる。僕らもそうしてきたし、長女がパニックにならないように、場所を移動するとか、何か別の行動をするというときには、視覚支援などを用いてきた。しかし、保育園のお友達や、次女三女などといるときには、そういった支援ができるわけでもない。

 

長女はお友達や次女三女との関係の中で、癇癪などになる手前に、代替的な行為として「アムーケシケシ」をしているのではないだろうか。

 

長くなってしまったので、パニック行動に困る!<下>(自閉症児篇)に続きます。