いつも困っている

家事と育児(三人姉妹で二人は双子)に対峙する男の日々

寝かしつけに困る!(ボストン篇)<ネムリラがないならネムリラになるしかない>

ネムリラになろう!」(長女1歳)

 

困ったことがあった。

 

長女は寝つきが悪かった。お昼寝もなかなか眠ってくれないし、夜もなかなか寝てくれない。このときは長女の寝付きの悪さの原因も分からず、僕の努力不足だと思って、あれやこれや試していた。

 

毎日、昼寝のためにバギータイプのベビーカーに乗せて、外を散歩していた。4月とはいえ、ボストンは肌寒かったが毛布を持参して連れ出し、じょじょに暖かくなり、今度は、日差しが強くなると、日陰を作るために用意した薄いガーゼ状のブランケットをベビーカーに取り付けていた。

 

ベビーカーに揺られていると比較的寝てくることが多かった。11ヶ月頃から歩き出した長女は、公園でも歩いたりして、それなりに疲れるのかベビーカーの中で寝てしまうようになった。

 

しかし、ボストンの冬は寒い、寒すぎる。毎日のように外に連れて行くことは困難になるだろう。

 

寝かしつけにも流行り廃りがあり、あるときはお腹をぽんぽんしているだけで寝てくれたり、手を握っているだけで寝てくれるということもあった。まるで寝かしつけのイメージ映像だ。

 

実際には、寝る前に突然泣き出して泣き止まず、オムツを交換してみたり、本人がいやがっていそうな衣類の接触部分を持ち上げてみたり、泣きすぎて汗もかいてくるものだから、衣服を交換したりと、そんな毎日だった。

 

子守唄やら、よく寝ると評判の音楽、換気扇の音や、心音、こんなときのために録音しておいた胎児のときの音なども試してみた。だいたい、一回くらいは効果があった気がするが、二度目はあまり効かなかった。

 

長女は妻と一緒じゃければ寝なかった。しかし、妻はすっかり疲れ果ててしまっていたので、僕が寝かしつけをやらなきゃならなかったし、寝かしつけをマスターしなければ、育児面もできないだろうということで、徒手空拳の寝かしつけを編み出すことになった。

 

いろいろな道具に頼ると、道具の扱いなどでわちゃわちゃしてしまって、僕がパニックになる。スマホで音を出して、やっと子供が寝たと思ったら、メールか何かの通知が来て子供が起きてしまったり、寝かしつけ終わって部屋を出たら、スマホを忘れてとりに戻ってまた起こしてしまったり、そんなこともあった。

 

道具に頼りたかった。

 

「コンビのネムリラが欲しい」

 

妻の妊娠中、はじめての出産ということで浮かれていた僕たちはコンビの商品説明会みたいなところにいった。そこではベビーカーの扱い方からさまざまな育児用具の扱い方を教えてくれるということで、はじめて育児用具に触れても戸惑わないようにと、妻が連れて行ってくれた。プロからきちんと説明されるのであれば、それを忠実に守ればいい。

 

僕は説明書を見てもなんだかよく分からなくて、変なところに力を入れてしまって壊してしまったりすることがある。

 

そのとき、ネムリラという寝かしつけ道具を見た。乳幼児を乗せて、自動でゆらゆら揺れるゆりかご。そのゆりかごは乳幼児が眠りやすい振動を出しているらしく、コテンと寝てくれるそうだ。

 

ネムリラを見たとき、そこそこ大きいし、値段もする。それに寝かしつけなんて、そんなに大変でもないだろう、と思っていたということもあって、ちょっと大袈裟なグッズに見えていた。

 

僕はネムリラに憧れた。アメリカで憧れた。

 

アメリカからネムリラを買うわけにはいかなかった。送料もそうだけれども、寝かしつけ予算というのがあるとしたら、予算を超えていた。

 

僕がネムリラになるしかなかった。ネムリラの形を機能を調べて真似をする。

 

長女を包み込むようにして、微動したり、揺れたりした。拘束するようにぎゅっとすると落ち着くようだった。両手両足でぎゅっと抱いて、ゴロゴロ揺れて、歌まで歌った。

 

長女は毎回眠るようになった。15分から40分くらいはかかるけれども、確実に寝るようになった。この寝かしつけは長女が2歳になるまで続いた。

 

妻の友人が遊びに来ていた。僕が長女の寝かしつけをすると、その友人の娘も寝かしつけて欲しいと言われた。僕が目指したネムリラの話をしておいた。