「家は三軒建てて、理想の家ができる、とはいうけれど」
困ったことがあった。
どうなるか分からないことでもあるのだけれども、僕のように些細なことからいろいろと考えて調べ始めてしまうタイプの人間は、ちょっとしたことで妄想が広がってしまう。今回の妄想である「三軒目の家」というのも、もしかしたら、またまた引越しがあるかもしれないということを想定してしまったせいで起こった妄想だ。たまに、家を建てたのに転勤になったという気の毒な話を聞くが、そんなことは妻や僕の身に起こらないだろうと思っていたけれども、可能性として全くないわけではない。それに、そもそも縁もない地域に妻の仕事のために引っ越してきたというのもあって、妻が定年になって、子供たちが出ていったら、僕にとっては馴染みのある東京あたりに戻りたいものだとうっすらとは思っていた。
老後にどこか別の土地に引っ越して、そこに平家を建てるということを何度か妄想したこともある。二階建ての家を二回建てたというのもあるのだろうけれど、平家ならどんな家にできるのだろうと想像した。もちろん、子供が多い場合で平家となると、広大な敷地が必要になるだろう。土地代が高いところに平家は贅沢だ。土地にかかる固定資産税だけでもたいへんだと思う。田舎でもなければ平家はできない。まあ、地主ならそれもできるかもしれないけれども。
平家にするのであれば、コの字型がいいと思っていた。ロの字型にして中庭を作るものかっこいいけれども、生活をするときにグルグルしなければいけないような気もするし、中庭の掃除もちょっと大変そうだ。コの字型であれば、グルグルはしないだろうと思ったが、よく考えてみれば、グルグルできないだけで、入り口が一つであればもっとも遠い部屋に行くのが大変になるというだけかもしれない。遠い部屋は中央の部屋からしかいかない用途の部屋にするとか、入り口を二つにするとかすればいいかもしれないが、入り口を二つにするのであれば、ロの字型でも同じだ。と、そんな平家の夢を、三軒目をもし建てるなら、と思ってたまに妄想していた。平家の場合は、子供たちも出て行って、夫婦2人で住むという設定だ。
しかし、もし子供がいるうちに三軒目の家を建てるのであればどうだろう。そうなると平家はちょっと難しい。よっぽど田舎に引っ越すというのならできるかもしれないが、そんなよっぽど田舎に引っ越したくはない。僕も妻も車の運転が苦手なのだから、田舎に引っ越した途端に途方にくれる。いま、僕が妄想している三軒目は、いま住むところよりも土地代が高くなる場所だ。土地代が高くなるということは、つまり、購入する土地が狭くなるということでもある。東京に住んでいるときに土地を探したときには、20坪から30坪の土地が結構いい値段で出ていた。いま住んでいる地域の倍以上の坪単価なのだから、狭くても高いのは仕方ないことだ。
もしかしたらばかりで申し訳ないが、妻がもしかしたら転勤するとして、そして、そのあたりの地域で僕も満足し、子育ても良さそうな地域で、今の家と土地を売って、家も建てられそうな土地となると、30坪あたりの土地が現実的だ。30坪で二階建てはなかなか大変だ。パーっと土地を見ていると、建ぺい率60%、容積率200%というのが多い地域だった。30坪の土地で、建ぺい率60%の場合は、建設面積というのか土地の中で建設ができる範囲が30坪の60%になるため、20坪に満たない。平屋であれば、20坪分の延床面積の広さの家しかできない。しかし、容積率200%となると、敷地における建物の基礎などが作れる面積は20坪以下だとしても、延べ床面積は土地広さの2倍までOKということになる。つまり、延床面積は60坪まで大丈夫ということだ。60坪の延床面積となると、5人家族はおろか7人、8人くらい住めてしまうくらいの広さになるだろう。二世帯住宅も余裕な延床面積、それが60坪だ。
いま僕らが住んでいる家は、延床面積が40坪を超えている。これは僕も妻も家で仕事をすることが多いので、狭くても仕事部屋が二つ必要になっているというのと、子供も3人いるためそれぞれの部屋を、これまた狭くてもいいから作るということで、当初は予算の兼ね合いで延床面積は35坪で抑えたかったけれども、40坪を少し超えてしまったというのがある。正確には42坪くらいだ。で、現状で、狭さは感じていない。子供達がもう少し大きくなると、多少は狭く感じるのかもしれないけれど、現在、子供たちの遊び部屋になっている小屋裏が荷物置き場になるため、衣類や荷物を移動すればちょうど良くなるような気もしている。
三軒目?に困る!<2>(新築篇)に続きます。