「僕の使命は予算内まで値切ること」
困ったことがあった。
一条工務店で家を建てるか、それとも三井ホームか、はたまたスウェーデンハウスかと僕の心は揺れていた。妻は三井ホームさんに早々と心を奪われてしまったので、三井ホームさんが優勢だった。ただ、三井ホームさんでネックになるのは予算だった。
今回家を建てようと検討することになったのは、一条工務店さんの営業Yさんに妻が話しかけられたというのがある。一条工務店は僕も興味があったし、アメリカにいたときにも一条工務店の広告を見たことがある。「家は、性能。」というキャッチフレーズは、一度、高気密高断熱の家に住んだ人ならすぐにピンとくる。
僕が1回目に建てた家は一条工務店さんじゃなかったけれども、当時も高気密高断熱についていろいろ調べて建てた。間取りなどに反省点はあったけれども、高気密高断熱という「性能。」に関しては反省どころか、家を建てるなら高気密高断熱以外はありえないと思うようになっていた。その後、いろいろあって、アパートやマンションに暮らしてみると、余計、高気密高断熱の家に引っ越したいと思うようになる。結露との戦いとおさらばしたいし、隙間風ともおさらばしたい、夏の暑さも冬の寒さもおさらばしたい。
そんな僕には一条工務店さんは魅力的だった。これでもかこれでもかと押し寄せる高気密高断熱の「性能。」にしびれていた。
しかし、ふと思った。
僕が住んで心地よいと思っていた高気密高断熱の家は、一条工務店じゃなかった。一条工務店さんは確かに素晴らしいけれども、一条さんだけが高気密高断熱というわけでもない。他の高気密高断熱の家も住み心地はいい。
一条さんのいいところは、一条施主のブログや動画が多いところだ。ハウスメーカー選びに役に立つのはもちろんだけれど、一条さんで建てる際のオプションや間取り、そして一条ルールなるものがどういうものかを教えてくれる。そこで気になるのは、僕が見たいくつかの動画やブログでは、一条さんの高気密高断熱の家の「性能。」を褒めるときに、アパートやマンションなどに住んでいたころと比べているということだった。
仕方ないといえば仕方ない、1軒目の家が高気密高断熱で、2軒目に一条工務店で建てて、高気密高断熱の家同士の比較をする人なんてあまりいないと思う。
で、そんな一条施主さんたちのブログなり動画を見ていると、僕が最初に建てた高気密高断熱の家で住んでよかったと思ったのと同じ感想だったりした。
もちろん、細かな数値になると、一条さんの方が高性能だと思うけど、その分、一条ルールもある。それに寒冷地でもないところに高気密高断熱の家を建てるなら、床暖房はいらないというのが、以前、高気密高断熱の家を建てて思ったことだし、実際、床暖房がなくても冬場も心地よく過ごしていた。
一条さんの「性能。」は、僕にとっては過剰設備だった。そして、その過剰設備のために間取り等の制限ができてしまうというのはマイナス要素でもあったし、妻は一条さんの住宅設備にときめかないようだし、僕も「性能。」には惚れ込んだけれども、それ以外にはとくにぜひ建てたいという決め手が欠けていた。予算にしても、そこそこ良いお値段だった。もしかしたら、これがネックだったのかもしれない。
僕は一条工務店さんを、値段もお手頃、性能は抜群みたいに思っていた節もある。実際、そんなイメージで売り込んでいる気もする。モデルハウス仕様が標準仕様とは言うけれども、いくつかの魅力的なオプションもある。僕らが検討していたグランスマートだと一階の天井の高さを上げるのもオプションだし、床冷暖房のさらぽかもオプション、外壁のかっこいい感じのタイルもオプションだった。やりたいことはだいたいオプションで、それらを入れた見積もりを出してもらうと、三井ホームさんと比べても、500万円行かないくらいの違いだった。三井さんはキッチンハウスなどのオプションも入れている。坪10万円くらいの差になる。
この坪10万円の差をどう考えるのか。
本契約に困る!<中>(新築編)に続きます。