「そろそろ家電の買い替え時期?」
困ったことがあった。
一生物の道具というのに憧れることがある。一生物だから永遠に使えるわけでもないし、一生というのだから、道具を使い始めて、その人が使わなくなるまでと考えると、フライパンであれば50年から70年くらい使うことができるというものだろう。フライパンを例に出してしまったから細かいことが気になるけれど、長く使えるフライパンという時点で、フッ素加工やテフロン加工のフライパンではない。いや、中にはテフロンがベロベロに剥がれて、フライパンも穴が開く一歩手前のベコベコ状態まで使い続ける人もいるらしいから、きっとそういう人にとっては、テフロン加工のフライパンも一生物までいかなくても、一生の半分の半分くらいは使い続けられるのかもしれない。
フライパンを調べた人なら分かると思うけれど、テフロン加工というのはデュポン社のどうのこうので、有害だとかなんとか言われるから自然と買わなくなった人も多いと思う。中には、デュポン社に対して一家言ある人もいるかもしれない。
一生物とまでもいかないまでも、何十年と使えそうな、そして使いたいとも思えるフライパンを探して、僕は三重だか五重構造だかのステンレス製のフライパンを買ったことがある。何重にもなっているのは、ステンテスだけではなく、熱効率の高い銅なども重ねているということだ。このフライパンはとても丈夫で大事に使えば一生物だろう。このフライパンは取手の部分もステンレス鋼なので老朽化したり壊れたりするとなると、継ぎ目の留め具なのかもしれないが、使用して5年経つけれど、何も問題はない。
もう一つ使っているフライパンは、鉄製のフライパンで、これは妻がステンレスフライパンの扱いが雑というか、よく焦がしてしまうので、そうならないために鉄製のフライパンを買った。鉄製も焦げるという人もいるかもれないが、最初に油に馴染ませて、そして何度も使っていれば、そこまで焦げつかなくなる。テフロンやフッ素加工の便利さを知ってしまえば、不便に思えるかもしれないが、うちでは鉄かステンレスの二択しかないのだから、妻も鉄フライパンを使うようになり、今では不便そうな顔はしていない。まあ、僕が最初に買った鉄フライパンは重いということだったから、妻用の小さい鉄フライパンを買ったからかもしれない。
この鉄製フライパンは、持ち手の部分が木製になっている。木製の持ち手は不衛生な気もするし、しばらく使っていたら緩んできたりするのかと思いきや、この鉄製フライパンの持ち手の部分は緩んでもすぐに締め付けられるし、交換もしやすくなっている。これなら、一生物に近づける気がする。
まあ、フライパンなどの道具は日々、大事に使っていれば、数年やそこらでダメになることもないし、ステンレスフライパンも、鉄フライパンも使い込むほど味も出るし、油も染み込むから道具として育っていく感じがあってとてもよい。それはまるで、新品よりも、履き込まれた革靴の方が心地良いようなものだ。
道具は使い込めば使い込むほどよくなるものがあるけれど、使い込めば使い込むほど、単に性能が落ちてくるというのもある。家電がそうだ。
我が家にある家電は程度の差こそあるけれども、少しずつ不具合が出てきている。使っている家電の大半は、帰国してから買ったのだから、古いといっても4年と半年くらいになる。帰国してすぐ、仮住まいのレトロなアパートに滞在しながら、2LDKか3LDKのアパートかマンションを探していた。そのときは、長女が2歳、次女三女の双子は乳児だった。東京郊外ということもあり、すんなりとURへの入居が決まった。仮住まいのアパートから歩いて5分もかからないところだった。ちなみに、僕が18歳まで育った地域というのもあって土地勘もあった。たまに目が合う人に子供時代の知り合いもいたような地域だった。
ボストンで買った家電はテレビと扇風機、哺乳瓶洗い器、それと掃除機と湯沸器くらいだった。扇風機は二度目の夏に支柱が曲がり自立が難しくなっていたので捨てた。あとは備え付けの家電で済ませていた。ボストンで買った家電は帰国の際に、知り合いたちに譲った。たまに「売ります・買います」みたいなので売っている人もいるけれども、どの家電も帰国間際まで必要だったということもあって、直前にドタキャンされるのもいやだったということもあり、友人たちに譲ることにした。厳密に言えば、友人たちからはご飯やビールを奢ってもらっていたので、譲るといっても、僕らも何かをいただいていた。ボストンで仲良くなった人たちとはそんな関係だった。
買い替えに困る!<2>(主夫篇)に続きます。