防災に困る!<3>(新築篇)の続きになります。
防災のことを考えて注文住宅を建てることにしたというのに、注文住宅以外の選択肢を考えるてしまった。マンションなどの集合住宅、そして建売。もう一つは、中古物件となるけれども、これはこれで僕はお値段だけじゃない憧れを感じもしていた。テレビ番組の影響は恐ろしいものだ。それに僕は不器用なのに何かを作るのが好きで、子供の頃から木工で何かを作ってはがっかりして、そしてまた作るを繰り返していた。いまでも組み立て式家具が好きだけれども、完成してみると、継ぎ目に隙間が開いている。そんな僕にリフォームなどできるわけもないけれども、ついつい憧れてしまう。
古い民家をリフォームするというのは夢があるけれど、耐震性や性能を考えると、リフォームの金額も高くなる。注文住宅であれば、地盤改良も含めて一から耐震性が考えられた家が建てられるのだから、性能面だけを見ればリフォームより注文住宅の方がいいだろう。それが分かっているから、中古物件は考えないようにしていた。
困ったことがあった。
しかし、築浅の中古物件はどうだろうか。この新興住宅街でも、新しいのに人が住んでいない家がたまにある。庭に雑草が生い茂り、生活している感じはないが、窓枠にはぬいぐるみがあるような気がする。表札もなく、車なども止まっていない。なんらかの事情があって長期留守にしているだけなのか、それとも誰も住んでいないのか。この雰囲気は見たことがあって、夜逃げした家がこんな感じだった。夜逃げの家には漫画みたいに「金返せ」的な張り紙が何枚も貼ってあったのを思い出した。この空き家? には張り紙はない。もしかしたら事件があったのかもしれない。まあ、そんないわくありげな物件でも築浅の中古物件として考えると魅力的でもある。築浅であることを考えれば、きっと、いまどきの基準を満たしたの耐震、気密、断熱などの性能はあるとは思う。等級などは家の仕様書を見ないとなんとも言えないが、昔の家に比べれば今の家は基本的に性能がいい。もちろん、どこが建てたかによりはするけれども。
そんな築浅の中古物件であれば、中古物件といえどもそこそこの値段がするのだろう。この場合はあまりリフォームする必要がないかもしれないが、なんだろう、僕が迷信深いのからなのか、築浅の中古物件は、そのいわくありげな感じがいやだと思う人もいると思う。考えてみれば、築浅ということは、そこに住もうと思って、土地を探して、ハウスメーカーも検討して、そして数ヶ月かけて家を建てたことになる。で、家を建ててまだ新築に近いような年月で、その家を手放した、となると、それぞれの事情があるとは思うけれども、ハッピーではない事情もあるだろう。あまりにも安い値段だったらアンハッピーな事情が察せられるが、安いならアンハッピーな事情を抱えた家でも気にしないというコスパ信者からすれば信仰する神が違うということで問題はないかもしれない。逆に、値段が高い場合は、ハッピーな事情かもしれないというか、売り手が困っていない状況であることを示しているとも言える。それはそれで良かったと安心するけれども、値段が高い中古物件を買うかどうかというのは、それはそれでまた別の問題でもある。
ここまで考えると、僕には中古物件という選択肢ははじめからなかった、ということに納得がいった。考え不足で選択肢を減らしたのはなく、それなりに考えた上で、僕は中古物件という選択肢をとらなかったというわけだ。いちいち自分に言い訳しながら生きている。
もし僕が中古物件を買うとしたら、その家の来歴をよく知っている家、つまり親類縁者や友人の家や、好きな著名人が住んでいた家とかかもしれない。そんな家ならリフォームも楽しいだろう。でも、気になるのは、性能だ。とくに耐震や火災は気になるところだ。
注文住宅やセミオーダーの家が高い理由はそこにある。ローコスト住宅といっても、耐震や性能にこだわっている場合は、そこまで安くはならない。地盤調査もしっかりやっている。災害に強い家というのを売りにしているハウスメーカーもたくさんあると思う。災害対策がなされているかどうかは、ハウスメーカーを選ぶ基準になっているといっても言い過ぎではない。気密と断熱も重要だけれど、やはり、耐震や火災に対して強い家かどうかは重要になる。ハザードマップでやや危険な地域に家を建てるのであれば、一条工務店のような水害に強い家を売りにしているところを選んだかもしれない。
防災に困る!<5>(新築篇)に続きます。