いつも困っている

家事と育児(三人姉妹で二人は双子)に対峙する男の日々

設備の破損に困る!(再東京篇)<設備の破損はいつから請求されなくなったのだろう>

「UR管理事務所の対応がとても丁寧」(長女3歳1ヶ月、双子1歳)

 

困ったことがあった。

 

東京郊外のUR住宅に住んでいた。URにしたのは礼金がかからないことと、双子のベビーカーの出入りが楽なこともあるし、帰国したばかりで収入証明などがややこしいときには、UR住宅は便利というのがあった。一年分を一括で支払ったら、用意する書類も少なかったと思う。

 

妻と結婚したばかりの頃、妻は所属先もあるところで働いていたのだけれども、僕がフリーランスということもあって、不動産屋さんの審査が少し面倒だった。男女平等とか、主夫とかいろいろと言われているけれども、入居の審査や役所の書類などでは、やっぱり男が所属先のある安定した仕事をしているというのが前提になっている気がする。

 

その不動産屋さんの担当はいい人だったし、紹介して住んだところの家主も気さくな人だったので不満はないけれども、身分が安定していない状態や、フリーランスが家を探すのは大変だ。

 

25歳のときに引越しをしようと不動産屋を回ったときもフリーランスということで紹介してもらえないことも多くあった。漫画家の話にもそういうのがあった気がする。

 

UR住宅の場合も、家賃を毎月支払う場合には審査があるらしいけれど、一括で支払う場合は収入証明のような審査は求められなかった気がする。ネットバンキングの手続きを忘れてしまってアメリカで使えないままになっていた僕の貯金の出番がきた。

 

入居時に、破損部分がないか確認して書類を提出した。入居したてというのはなかなか破損や不具合に気が付けないというのもあるから、しばらく様子見てから報告してくれればという説明もあった。親切な管理人さんだった。

 

数ヶ月経って、ところどころの不具合があった。小さなものでいえば、浴槽の栓についているチェーンがちぎれてしまったことだし、比較的大きなことは、窓ガラスにひびがはいってしまったことがあった。

 

はじめて一人暮らしをした18歳の頃、ドアノブが外れたことがあった。最初は見よう見まねで止めてみたりしていたけれども、どんどん修復が困難になり、起きたらドアが開いていて、ドアノブが玄関に落ちていたことがあった。しばらくは鍵もかけずに外出していたけれども、盗られるものなど何もない部屋とはいえ、誰かに住まわれてしまったら困ると思って不動産屋さんに電話した。

 

修理代として10000円くらいかかった気がする。18歳の僕には大打撃だった。ガスも電気も止められることが多かったのだから、その打撃の強さは計り知れない。ガスに関しては、担当地域のエネスタに言って、ガスが止められた原因になる月だけ支払いたいと直談判にいって断られたこともある。11月まで水のシャワーで体を洗っていた。修行のようだった。

 

そんなことがあってから、僕は賃貸住まいの修理に関してなんだかちょっと敏感になっている。トラウマというやつかもしれない。

 

浴槽の栓についているチェーンについて、UR管理事務所に聞いてみた。

 

「経年劣化だと思いますので、無料で交換しますよ」

 

そうなのか! 僕は驚いた。18歳のあの頃とは違って、チェーン代くらい払えるし、工賃だって払えるようになっているにもかかわらず、無料なのか。

 

本命の窓ガラスのひび割れについても聞いてみた。事前にネットで調べてみると、窓ガラスにワイヤーが入っているタイプのものは、寒暖差で「熱割れ」という現象が出ることがあるという。この場合は、家主が直すことが多いということだった。

 

「熱割れの修繕も無料ですよ」

 

世の中は、いつからこんなに優しくなっていたのだろうか。あの頃のドアノブの修理費で悲しんだ18歳の僕に、いつか優しい未来になるよ、と教えてあげたい。

 

考えてみたら、アメリカでも設備の不具合で修理費を請求されたことはなかった。故意に破損したのでなければ、家主が負担するということなのだろう。普通に暮らしていても設備は劣化するし、人が暮らすことが前提となって住宅はあるのだから、当然といえば当然かもしれない。20年以上前はそれが当然ではなかった気がする。

 

これ以来、UR住宅が気に入ってしまって、妻の仕事で名古屋に引越すことになったときも、UR住宅に決めていた。しかし、名古屋のURは、東京のような対応ではなかった。地域差があるのかもしれない。20年以上前に味わった対応だった。

 

20年以上前にはネットもなかったから、ドアノブが外れてしまうと素人が直すのは無理だった。いまはネットでドアノブの直し方くらいは探せるだろう。まだ調べてないけど。