いつも困っている

家事と育児(三人姉妹で二人は双子)に対峙する男の日々

土地の申し込みに困る!(新築篇)<「いい土地」ってなんだろう?>

「予想より早く土地が見つかった」

 

困ったことがあった。

 

家を建てると決めてから、思った以上にとんとん拍子で事が進んでいる。スピード感がえぐい。

 

10年以上前に家を建てるときには、土地選びだけでもそこそこ時間がかかった。3ヶ月以上は土地探しに時間をかけたと思う。そのときに思ったのは、土地は焦らずに探した方がいいというものだった。

 

不動産屋さんも商売だから、それなりにこちらの条件を満たせる土地をおすすめしてくるし、条件を満たしているのだから、即購入の決断をした方がいいと迫ってくる。もちろん、それはそうだ。

 

とはいえ、購入する側は、購入したい土地の条件や希望を出しているとはいえ、本人たちにもまだ未定な部分もあったり、いざ土地を探していると、こういうところがいい、こういうところは嫌だというのが具体的になってきたりもする。最初の条件だけを満たしていても、探しているうちに細かい条件ができてきて、購入に至らないこともある。

 

最初の条件が明確になっている人であれば、僕のように迷うこともないだろう。そんな人であれば、条件を満たせば即購入できる。

 

しかし、なかなか最初から自分たちの条件を明確にできる人はいないと思う。

 

土地を探しながら自分たちに合った土地を明確になっていくなら、それはそれでいいように思う。10年以上前はそうやって土地を探した。条件に合った土地をいくつも紹介されながらも、ピンと来ないとかそんな理由で断っていた。

 

「こんないい土地はなかなか出ないですよ」なんてお決まりの台詞を何度も聞いた。

 

いい土地ってなんだろう。東南角地とか周囲の環境とか、そんなのがいい土地になるのかもしれない。どれか一つでも満たしていれば「いい土地」かもしれない。とはいえ、「いい土地」とは買う人にとって「いい土地」かどうかでもある。

 

明らかに悪い土地というのも難しいけれど、人によっては一般的に悪く思える土地が「いい土地」のこともあるだろう。だから、僕は「こんないい土地はなかなかない」という言葉にあまり重きを置かない。それに、不動産屋さんの言う「いい土地」は学区などの地域限定で探していないなら、週一は言い過ぎだけど、二週間に一つくらい出てくる。

 

そんな感じの土地探しで、10年前は旗竿地を買った。僕にとっては、それまで10件近く勧められた「いい土地」より、「いい土地」に思えた。いまとなっては離婚したりして、その「いい土地」とも縁がなくなったので、どうでもいい話かもしれない。

 

そのときの経験を活かして、今回も「いい土地」を探していた。土地勘もない中で探すのだから、どのへんがいいのかすら分からなかった。

 

10年前と違っていたのは、経験による土地の判別や、一条さんに入れてもらったランディやらで、自分で探すことが簡単になっていたことだ。土地の説明についてもいちいち不動産屋さんに聞かなくても分かっていた。そういうことから、土地探しにかける時間も効率的になっていたのだろう。経験のおかげで、自分にとって「いい土地」がどういうものか明確にしやすくなっていたかもしれない。不動産売買は経験が大事だ。ただ、なかなか経験することがないだけだ。

 

ネットやランディを駆使して、僕らの条件を満たす土地に出会った。きっと、これ以上の土地はないだろう。あったとしても、それは数ヶ月後とか数年後かもしれない。気になるのは予算を超えてしまったことだ。

 

予算に関しては、僕らの条件を考えれば、予算を見直さなければと夫婦で話していたところだった。名古屋近郊とはいえ、便利な土地は坪単価も高い。当初考えていた2500万あたりで40坪程度というのは難しかった。あるにはあったけれども、車が必要になったり、子供たちの保育園や小学校が遠かったりした。そんなことから、土地は諸々込みで3000万円にしようということになった。それでも、この土地は諸経費込みで3300万円くらいになる。ただ、広さも50坪だった。坪単価は申し分ないというか安い。悩んだ。

 

住宅ローンを組む額を増やすことにした。

 

土地の申し込みに行ってみた。

 

なんだかバタバタした感じで迎え入れられた。土地の話をすると奥から人が出てきて、僕らのことをいろいろと聞いてきた。そして、なぜ、名古屋市じゃないこちらの市にしたのか、というようなことを聞かれた。まさかそんな質問があると思わず、正直に話してしまった。

 

長女が障害児であること。障害児の対応をめぐって名古屋市と揉めたこと。僕が名古屋市役所と今後関わりたくないと思っていることや、今だって名古屋市に税金を納めたくないと思っていることなど、つい話してしまった。

 

僕が話していると、奥から出てきたおじさんはどんどん笑顔になって、会社の中にいる人たちも嬉しそうにしていた。中には席から立ち上がって僕らを見ている人もいた。奥にいる偉そうな感じの人まで仕切りの向こうから出てきて僕を見ていた。

 

これはどういう反応なのだろう。

 

「すみません、名古屋市の悪口を言ってしまって。こちらに名古屋市の方がいたら謝ります」

 

「大丈夫です、ここには名古屋市の出身者は一人もいません」

 

みなさん、笑顔だった。なんか受け入れられている感じがした。この土地は、僕らにとって「いい土地」かもしれないと思った。「いい土地」というのは人それぞれの基準がある。名古屋市の文句を言ったら温かく迎え入れてくれる、こんなことが僕の「いい土地」になってしまう。名古屋に悩まされた人間にはありがたかった。

 

そうして、土地の申し込みをした。妻のボーナスが出る時期でもあったので、ボーナスは全額頭金に消えるとか話しながら帰宅した。今年からはお小遣い制になっているし、ボーナスで何か買ったり、旅行する計画も僕らにはなかった。