いつも困っている

家事と育児(三人姉妹で二人は双子)に対峙する男の日々

引越準備に困る!<上>(主夫篇)<また引越します>

「引越は何度やっても大変だ」

 

困ったことがあった。

 

家を建てているということは、家ができたら引越するということだ。引越は何度やってもなかなか慣れない。

 

子供の頃にも何度か引越をした。記憶にない2回の引越と記憶にある2回の引越。合計4回。しかし、子供の頃の引越なんてものはとくに何もしていないのだから、大変ということもない。引越先に馴染むまでに少し時間はかかるかもしれないけれど、それはそれだ。

 

18歳の頃に家を出て、そのあとも転々としていた。10年後に一度目の結婚をするまでに4回くらい引越したかもしれない。とはいえ、これも一人暮らしの荷物だし、そもそも本以外の荷物はほとんど持っていなかった。若い頃は引越する度に家電は誰かにあげて、そして引越する度に誰かからもらったものだった。冷蔵庫にしても洗濯機にしても、ろくに自炊もしない一人暮らしの男に必要な家電なんてたかが知れている。ちなみに、一度目の結婚をするまで、電子レンジというものを持ったことがなかった。実家にもなかったから、電子レンジというのはお金持ちの家にしかない物だと思い込んでいたのかもしれない。一人暮らしのときにはテレビも持っていなかった。たまに「テレビは見ないんだよね」とインターネットが普及してから言っている人がいるけど、僕の場合は、テレビもなかったし、スマホはもちろん、パソコンもなかった。携帯電話もない時期はあったけれど、基本的には携帯電話は持っていた。いわゆるガラケーだ。

 

そんな一人暮らしの男の引越は大変ということもなかった。本を運ぶのは大変だったけれども、あの頃はまだぎっくり腰にもなっていなかった。学生のときに引越のバイトもしていたから、本が詰まったダンボールを持って階段を上り下りするくらいは疲れはするけどできた。

 

一度目の結婚で引越して、そして家を建ててまた引越をした。このときも、僕の荷物は本ばかりだったから、僕自身の引越準備は本を詰めるくらいだった。これはこれで大変だけれど、本を詰めるのは好きだった。

 

しかし、家庭を持ってみると、インターネットやらなにやらと手続きもたくさんある。引越業者に相見積もりを取ったり、それから、そのときは中古とはいえ、マンションを購入していたということもあって、賃貸にするためにマンションのリフォームもしなければならなかった。引越準備というよりも、このリフォームをめぐって、マンションの理事会の闇が垣間見えたりしたことの方が記憶に残っている。マンションの手抜き工事というか、図面と違う施工をしているのは、副理事長が噛んでいて、副理事長という人が怪しげな動きをしていた。施工会社は副理事長の知り合いだった。きっといくらか抜いていたんだと思う。こんなことは多かれ少なかれいろんなところでやられている。怪しげな人はやっぱり怪しいと思った。副理事長は手抜き工事や図面と違う現状が指摘されると、慌てて、居住者側に問題があったのではないかみたいな話をしてきた。最終的には、管理費からいくらか補償するということ話がまとまった。副理事長の斡旋に対して疑惑が向けられてきたときに、居住者負担100%を主張していた副理事長が、折半にすることを提案してきた。

 

壁の中にエアコンの排水が垂れ流されているのを、理事会の多くの人が目撃して、居住者どうこうの問題じゃないというのが誰の目にも明らかになったからだと思う。副理事長は最初は敵対的だったのに、そのあたりから妙にニコニコとして、僕の肩とかを触ってくるようになって嫌だった。会うたびに握手を求められるのがいやだった。

 

このマンションがいまどうなっているのか分からない。15年以上前の話だから副理事長もいい歳になっていると思う。理事長は高齢でいい人だったけれども、高圧的な副理事長の言いなりだった。

 

引越準備の話からずいぶんとずれてしまった。

 

引越というのは、マンションであればこんな理事会の闇を見ることにもなったりする。普段とは違うということなんだろう。

 

次の引越しは、離婚したときで、バタバタと引越した。本もそうだけれども、このときには僕の荷物も増えていたから困った。友人などに荷物を預かってもらったりして、マンスリーマンションに住んでいた。なぜか仕事が忙しくて、マンスリーマンションの狭い一室で一生懸命仕事をしていたのを思い出す。

 

落ち着いてきたあたりで、本や家具をレンタルルームにいれた。3畳のレンタルルームはまだ少し余裕があった。中で荷物整理の作業ができるくらいには。

 

そして再婚。住んだところはとても狭くて、レンタルルームの荷物は入りそうもなかった。妻の荷物が大半だった。そんな中、長女が生まれ、妻の仕事で渡米することになった。このときの引越準備はとても大変だった。日本からアメリカということもあったし、5ヶ月の乳児もいるのだから、大変は大変だ。しかし、大変すぎる引越しは諦めも早い。必要そうなものがあってもトランクルームに押し込んだ。押し込めないものは、友人たちに譲ったりもした。

 

引越準備に困る!<中>(主夫篇)に続きます。