いつも困っている

家事と育児(三人姉妹で二人は双子)に対峙する男の日々

アルコールIDに困る!<下>(ボストン篇)<IDの代わりになるものを探せ>

アルコールIDに困る!<中>(ボストン篇)の続きです。

 

ボストンの初日は、ミニマーケットでビールを買うことができた。そこではIDの提出は求められなかった。その後、大型スーパーマーケットの中にある酒屋でビールを買おうとするとIDの提示を求められた。IDと言えるものは、パスポートと国際免許証くらいしか持っていなかった。

 

困ったことがあった。

 

「国際免許証という国際的に認められているものだ。そして私は、40歳を超えている」

 

大きな女性と迫力のある女性は顔を見合わせた。

 

「ほんとに40歳超えてるの?」

 

「ほんとだ。1977年に生まれている。鼻毛だって白い毛があるくらいだ」

 

鼻毛を見せてとは言われなかったけれど、2人の女性が笑っていた。で、分かった分かったみたいになって、今回はそれでいいよ、みたいになって、無事にビールを買うことができた。彼女たちから見れば、僕は未成年のように見えたのだろう。で、今回だけと言っていたけれど、次に行ったときにレジで聞いてみると、「買ってもいいよ」と言われた。僕の鼻毛がID代わりになっているような気がした。ちなみに、40を超えたあたりから、耳たぶにもたまに黒い毛が生えるが、耳毛はID代わりに使ったことはない。

 

その後、ボストンでお酒を買う時には、マサチューセッツ州の運転免許か、アルコールIDというのが必要だと、在米先輩たちから教えてもらった。運転免許を取るのは簡単だとも言われたけれども、簡単だという人は英語がペラペラだ。僕のようなルー語じゃないし、そもそも、英語で暮らしているときにいつも躓くのは、相手が何言っているのか分からないときだったりもする。

 

日本で車の免許をとったときだって、教習所の教官によっては日本語なのに何言っているのか分からないことがあった。運転という慣れないものだと、日本語でも分からないことがあるんだから、きっと英語だともっと何言っているのか分からないって思うことがあると思う。それに、車を買う予定もない。ボストンで免許を取るのは諦めることにした。

 

では、アルコールIDはどうだろう。

 

これも簡単にとれると言われた。ボストンに住んでから一年くらいはアルコールIDを取りに行こうかと思ったことが何度かあったけれども、だんだんと慣れてくると、アルコールIDがなくても、どうにかなることが分かってきた。鼻毛みたいな話をすれば大丈夫だった。それと国際免許証も、堂々と出せばなんだかんだとイケた。

 

アメリカ生活で求められているのは、ユーモアと自信ってことなんじゃないだろうか?

 

ユーモアこそがIDになるとも言えるかもしれない。いろいろなところでIDの提出を求められたけれど、その度に、鼻毛も白いとか言って抜こうとすると面白がってくれたし、子どもの話をしたりすると、それはそれで大人だと信じてもらえた。あとは堂々と国際免許証を出せばいいだけだ。相手にしても許可するためにもう一押しして欲しいだけなんだろうと思う。実際に、僕は40歳過ぎていたし、もし、警察やら何やらの問題になっても、僕が40歳過ぎているのは紛れも無い事実なわけだから、問題はない。彼彼女らは、IDの提出を求めたことが事実だし、そして僕は僕で国際的なIDを見せたわけだから、誰の落ち度でもない。ただ細かいルールを盾に拒否するかどうか、その辺は日本の役所にしても人によって変わる部分だ。

 

ボストンではだいたいこんな感じで、ルールはルールとしてあるけれども、そのルールがなぜあるのかという根本的なところに立ち戻れば、意外と柔軟に対応してくれる。

 

しかし、なんだろう、鼻毛を毎回抜くようなパフォーマンスをするよりも、言われてみれば、アルコールIDを取りに行った方がいいような気もしてきた。でも、もし、アルコールIDを持っていたら、ボストンでもらう笑顔が半減していたかもしれない。この辺は難しいところだ。

 

これからボストンに住む予定の方は、国際免許証とユーモアをご用意くださるか、普通に、マサチューセッツ州のアルコールIDを取ることをおすすめします。在米先輩たちは、アルコールID一択のようでした。

 

そうそう、最初に話した団地のBBQや宴会の話にいまさら戻ると、このところ、団地が余っているという話を聞く。駅から遠いし、住む人も減った。そういうこともあるだろう。団地の不便さや決まりの多さ、老朽化や不自由さみたいなものは僕もよく知っている。しかし、僕が子どもの頃の団地は、コンプラ違反おじさんたちによって、なんだか楽しい世界でもあった。とはいえ、コンプラ違反なんて気にしないという昭和のメンタルを令和に求めてもダメだろう。ここはアメリカのように、団地の庭にBBQセットを置いてみるとか、誰も使わない集会所を宴会場として開放するとかしてみたら、人気が出るんじゃないだろうか? ボストンでは、BBQセットがあるアパートは人気だったし、BBQシーズンの土日は予約で埋まっているらしかった。