いつも困っている

家事と育児(三人姉妹で二人は双子)に対峙する男の日々

公共空間に困る!<上>(ボストン篇)<公共性ってなんだろう?>

「公共空間の使い方」(長女1歳10ヶ月)

 

困ったことがあった。

 

文化の違いというのがある。国が違えば文化も違うというのもあるし、同じ国でも地域が変われば違ってくることもある。それに世代や育ってきた環境などの違いなども文化の違いとして出てくることもあるだろう。

 

食事や習慣などの文化の違いは、私的なことでもあるし、人がとやかく言うことでもない。

 

ボストンの大型中華系スーパーに行くと、文化の違いに圧倒されて、何度通っても飽きることがなかった。そこには中華系だけでなく、日本などのアジアの物もたくさんあったし、アフリカ系の友人もそこでしか買えないものがあると言っていた。きっと僕が知らないだけで世界各国の食文化がそこに集まっていたのだろう。

 

こういう文化の違いはとても楽しい。ジャンだけで何種類あるのか分からないとワクワクした。そういえば、この間イオンに行ってふと思ったことなんだけれども、日本の味噌の種類だって多いような気がする。米味噌、麦味噌、豆味噌の大きく分けて三つあって、そこからいろんな味噌が生まれている。中華系スーパーのたくさんのジャンに圧倒されてしまったけれど、日本の文化にいない人が、イオンなどの日本のスーパーにある味噌の種類を見たら同じような気持ちになるのだろう。

 

食文化や習慣などの文化の違いは楽しいものだ。

 

その一方で楽しくない文化の違いもある。

 

ボストンは綺麗な街ではない。いろんなところにゴミは落ちているし、歩道も凸凹だ。街路樹の根や雪などによる影響で歩道や路面がボロボロになっている。車道を自転車で走っていると、大きな窪みがあったりするので危ないと思ったものだ。

 

道や街の汚さに関しても文化の違いがあるようで、汚さで有名なパリなんかも友人のフランス人に言わせれば、清掃をする人の仕事が生まれているから気にしていないということだった。とはいえ、パリに一週間以上滞在して犬の糞を見ない人はいないというのは、やっぱりちょっと引いてしまう。日本人は綺麗好きだと言われてしまうだろうから、これも文化の違いかもしれない。

 

友人にホームパーティに誘われた。

 

日本人が多いパーティだったけれど、中国人やスイス人、カナダ人、そしてアメリカ人も数人いた。パーティの場所はアパートメントの一階で、パーティなどのときに住民が予約をして有料で借りることができる公共空間だった。

 

家賃が高そうな綺麗なアパートにはこういうスペースがある。ジムがあったり、BBQのスペースがあったりする。有料とはいえ、アパート内の設備なのだからそこまで高くもないらしい。ただ人気があるようで、季節や日によっては予約が詰まっていたりするそうだ。

 

パーティのスペースを貸切にして、友人たちだけで飲み食いしていた。子供たちが多いと、こういう貸切のスペースは気を使わなくていいなあなどと、高い家賃を払えないというのもあって、ちょっと憧れていた。でもまあ、パーティなんて年に1回くらいしかやらないだろうから、僕が住んだところで、家計簿の赤字が派手になるだけだろう。

 

そんな身内だけのパーティの最中に、知らないおじさんがティーポットを持って、ソファに座ってお茶をしていた。誰かのお父さんなのかな? と思ってしばらく様子を見ていた。

 

雰囲気からして、中国の人っぽい。パーティの主催者が話しかけると、英語ができないということだった。返事は中国語のようだった。中国人の友人が話しかけに行った。そして、おじさんはいなくなった。

 

「公共スペースだと思って来ちゃったみたい」

 

そそっかしい人だった。確かに公共スペースではあるんだけれども、予約して料金を支払う場所だから、無断で居座るわけにもいかないだろう。

 

おじさんは立ち去ったけれど、おじさんが食べたお菓子の袋などは置いたままだった。

 

友人の中国人がため息をついた。

 

「年配の中国人って公共性がないんだよね、いつも恥ずかしい思いをさせられる」

 

とそんなことを言っていた。ちなみに、その中国の友人はとても気のつく人で、育児の相談にも乗ってくれたいい人だった。

 

長くなってしまったので、公共空間に困る!<下>(ボストン篇)に続きます。