窓サッシに困る!<中>(新築編)の続きになります。
気密性や断熱性の数値だけを見れば、樹脂サッシ一択となる。それに、窓サッシは家を作る上でも大きな役割を背負っている。だとすれば、たとえ、100万円ほど値上がりしたとしても樹脂サッシにすればいいじゃないか、と思うのもよく分かる。というか、僕はそう思っていた。
しかし、複合サッシも日々成長を遂げている。また、住む地域のことも考えなければならないだろう。果たして、僕の住む東海地域はそんなに寒いのか、またはそんなに暑いのか、どちらかといえば怖いのは地震じゃないだろうかなどと、そんなことを思いながら窓サッシで悩んでいた。
アルミ複合サッシ サーモスXが僕の前に現れてしまった。
困ったことがあった。
この複合サッシのメリットは、木製サッシの劣化はさておいて、樹脂サッシにもたびたび言われる脆性をカバーし、アルミの良さでもある加工のしやすさや強度を合わせたものということ。しかし、デメリットは、木製はさておき、樹脂サッシの断熱性までは到達していないということ。
悩ましいけれども、僕らの標準設備はこのサーモスXだ。僕は打ち合わせをしながら、価格が上がっても、窓サッシはすべて樹脂サッシにしたいと思っていて、2回か、3回くらい口にも出していた。
「全部、樹脂サッシのトリプルにするといくらくらい値段は上がりますか?」
大まかな値段は忘れてしまったけれども、100万円弱値段が上がってしまう感じだった。悩ましい。高額な家を建てるときに100万円というはたいした金額じゃないようにも思えてしまうけれども、実際100万円というと結構な金額だ。それに、サーモスXという創意工夫が僕は嫌いじゃない。こういう革新を応援したいという気持ちもある。
悩んだ。
最後の最後まで悩んだ。担当さんに何度もサーモスXのことを聞いたりしていた。
「申し訳ありません、窓サッシですが、サーモスXは終了になり、改良されたTWというものに、これからはなるそうです」
と言われた。改良された? ってことは、サーモスXよりよくなるの? え、と思いながら、サーモスXと樹脂サッシで揺れに揺れていた、もちろん、100万円がちらちらと浮かんでは消えていたから揺れてしまうのだけれど、サーモスXの改良ということで、決めることにした。
「TWでお願いします」
そんな感じで、僕はアルミ複合サッシの複層ガラスを選ぶことになった。
しかし、それだけは終わらないのが家づくり。
窓サッシは決まった。あとは、開けることのない窓をフィックスにしたり、窓を小さくしたり、無くしたり、そんなこんなでできるだけ気密性断熱性を上げるように設計士さんと打ち合わせを重ねた。我が家にはスカイラナイという大きなベランダと、裏庭がある。それぞれに外に出られるように大きな窓がある。本来であれば、押し開きの窓にしたいところだったけれども、構造上、押し開き窓が難しく、もっとも避けたい引き違い窓をそこにつけることになっていた。
大きな窓こそ、断熱性と気密性の敵になる。
「この窓、結露しませんか?」
「この辺の地域の三井ホームが建てた家で、サーモスXの複層ガラスが結露したという話は聞いたことがないです」
ということだった。
そうかもしれない。だけど、僕はずっと結露と戦っている。結露とカビがいやなんだ。なのに、妻も子供たちも湿気がお好き。部屋の湿度はそこそこ高い。三井ホームの全館空調であれば問題ないのかもしれないけれども、僕は不安だった。
サーモスX改めTWのトリプルガラスを採用したくなった。
「大きな引き違い窓の二箇所だけ、トリプルガラスに変更してもらえませんか?」
「もちろんできますが、金額が上がる割にはそこまで変わらないと思いますよ」
ということだった。商売っけがないといえばそうかもしれないけれども、三井さんの打ち合わせは万事こんな感じで、品がいい。
大きな窓二箇所をTWのトリプルガラスに変更した。そして、そこには電動シャッターまでつけた。20万円以上金額が上がってしまった。これで結露したらどうしよう。自分の責めることになるかもしれないが、どうせ、結露を掃除するのは僕だ。ここは好きにやらせてもらおうと思った。
窓サッシ一つとっても、家作りは大変だ。