いつも困っている

家事と育児(三人姉妹で二人は双子)に対峙する男の日々

取り組みに困る!<3>(自閉症児篇)<名古屋では三世代が同じ地域にいることが前提になっている>

取り組みに困る!<2>(自閉症児篇)の続きになります。

 

名古屋市の障害児保育の環境も昔に比べれば良くなってきているそうだ。しかし、そもそも崇高な理念のもとに作られた統合保育なるものがうまく運用できているかは謎だ。謎というよりも、ちょっと違うんじゃないかと思うことの方が多い。グレーゾーンなことが多い統合保育という制度を保護者はどう受け止めていけばいいのだろうか。

 

困ったことがあった。

 

名古屋市の統合保育は制度として瑕疵があることは、名古屋市役所も僕とのやりとりで認めた。もちろん、「予算のせいでできていないことがある」という言い訳つきではある。このことも、最初は認めてもらえなかった。僕が統合保育ついて書かれた論文などを示してやっと認めてくれた。今では、名古屋市役所が「統合保育の問題点」として障害児の保護者に説明するらしい。いいのか悪いのか分からないけれども、誤魔化し続けるよりはマシだと思う。

 

名古屋市役所も少しは変わってきているのかもしれない。僕のように、さまざまな省庁や関係機関を巻き込んで大騒ぎをする保護者がいたから変わったのか、そもそも市役所でも問題として把握していたことなのかは分からないけれども、少しは変わってきていると思った。保育園に関してはかなり変わってきた。保育園の独自ルールも改善され、強要されることも減ってきたし、そういえば、遠足の案内も、日本語ができない人がいることをやっと認識したのか、用意する物などを絵入りで知らせていた。実はこれも僕が園長に言っていたことだった。英語ができるということで、僕らは非日本語話者の保護者たちから相談を受けることが多かったというのもあって、園長にそのことを何度かお伝えしていた。改善されてしまえば、なんということもないことでもある。

 

東京の保育園でも最初は揉めた。しかし、その揉めは、一回で終わった。名古屋だとそれが数ヶ月にも及んだという違いだ。最終的にはどちらも解決しているけれども、かかる労力が全く違う。東京では意見の相違というくらいだから、話し合えば済んだ。所要時間30分だ。名古屋だと所要時間半年だ。時間にしたら膨大だ。この違いはなんだろうと思うのとともに、これからもことあるごとに、これだけの労力が求められるのか、と思うと暗澹たる気持ちになった。

 

これまた妻の別の同僚の話だけれども、その方も県外から名古屋に引っ越してきて、名古屋で子育てをはじめたそうだ。昨年、子供が小学校を卒業したということで、とても安堵したということだった。その理由は、その小学校では見守り運動というのか旗振り活動というか、登校時の子供たちを見守るために保護者が「毎日」通学路に立つらしかった。それがとても辛かったそうだ。そりゃそうだ。仕事をしていたら、毎日やるのは難しい。

 

名古屋の保育園でちょくちょく思うのは、保護者の負担の多さだった。保育士の方からも悪気なく「おじいちゃんおばあさんがいないなら大変でしょうね」と言われる。地元出身の人が多いということもあって、じいじばあばがいる前提で、保育園の行事や、きっと小学校の見守り運動もあるのではないだろうかという単純な感想。これはもしかしたら、外から来る人が少ない地域あるあるなのかもしれない。三世代が同居だったり同じ地域に住んでいることが多いことから、できてしまった慣例なのかもしれない。

 

そんな話を聞いていたらちょっと怖くなってしまった。そういう独自ルールが強いところはきっと障害児に対しても妙な取り組みをしているに違いない、と思った。次に戦うのは小学校か、いや、もういっそのこと、全員私立に入れるか、とか思ったりもした。でも、三姉妹全員私立は経済的にちょっときつい。

 

次回の取り組みに困る!<4>(自閉症児篇)が最後になります。