いつも困っている

家事と育児(三人姉妹で二人は双子)に対峙する男の日々

歯ブラシに困る!<下>(ボストン篇)<日本の物が合うのか、アメリカの物が合うのかはその人次第>

歯ブラシに困る!<上>(ボストン篇)の続きになります。

 

渡米準備で日本から持って行ったいい物に、水筒と歯ブラシというのがある。水筒は、アメリカの水筒はゴツいのもたくさんあるので、ゴツいのをお探しなら、アメリカで買った方がいいと思いました。日本の水筒の方が小さくて可愛らしいのはたくさんあると思う。何に困ったというのじゃないけれども、何が必要かなんてのは、行ってみないとわからないかもしれません。

 

困ったことがあった。

 

 

 

 

水筒の助言だけじゃなく、助言なるものは、その人と自分の生き方の違いで変わってくるのかもしれない。妻の知り合いはきっと品の良い方だったのだろう。僕は切り株の上や熊に襲われながら携帯する水筒を欲しているだけだった、という違いもある。かわいい水筒が欲しい場合は、日本から持って行った方がいいと思う。

 

次は、歯ブラシだ。

 

これもきっと同じことが言える。歯ブラシを日本から4本ほど持って行った。半年に1本替える計算だ。実は、歯ブラシに関して僕は納得のいく歯ブラシに出会ったことがなかった。

 

先日も歯ブラシの宣伝を見ていて疑問に思った。20年くらい前から、「奥歯に届く」みたいな売り文句で歯ブラシが売られていた。今でも「奥歯に届く」みたいな感じで売っている。20年前から人間の奥歯がどんどん奥に入っているという話は聞かないのだから、なんだか不思議だ。ずっと「奥歯に届く」ことの改良をやっているように思う。

 

奥歯に届かせるのは、グイッと奥まで歯ブラシを突っ込めばいいだけのことだろう、とワイルドな感じに憧れる僕は思っている。僕の口は大きい。

 

そんな日本の繊細な「奥歯に届く」歯ブラシをアメリカに持って行った。持って行ったのに、失くした。最初に止まったエアビでおいてきてしまったことに気がついたのは、半年後だった。

 

ウォルグリーンズというドラッグストアで歯ブラシを探した。でけえ歯ブラシが多かった。僕の大きな口にはこれくらいでけえ歯ブラシでいいんじゃないかと思って、できるだけデカくて無骨な歯ブラシを選んだ。ブラシの真ん中にはゴム板みたいなのが付いている。

 

この歯ブラシが最高に良かった。ぐりぐり磨ける。喫煙者である僕の歯に付着したヤニもゴシゴシ落ちていく。ブラシの毛が抜けるとか言われていたアメリカ製の歯ブラシだけれども、そんなこともなく、丈夫で豪快でいい物だった。

 

アメリカにいたときには、このラギッドな歯ブラシを愛用していた。帰国前に大量に買うつもりだったけれど、帰国前にはやることが多すぎて買い忘れてしまった。

 

帰国してからも、この歯ブラシをボロボロになるまで使っていた。使い込みすぎてさすがにブラシが開きすぎてしまったので捨てることにした。日本でも売ってないか探してみたら、一本1600円くらいした。アメリカだったら4ドルくらいだったのに、と思って買う気がしなかった。

 

つまり、歯ブラシも水筒のときと同じく、僕にはアメリカの物がぴったりだった。

 

日本でも真ん中にゴム板のようなものがある物があったので使ってみた。けれども、全く別物だ。日本の歯ブラシは歯茎にやさしすぎる。柔らかい。ゴム板も抵抗を感じない。ギュギュと新雪を踏み締めるようなグリップ感がない。見た目だけ無骨なだけの軟弱な歯ブラシじゃないかと、3ヶ月も使用したらブラシが開き切ってしまって使い物にならなくなってしまった。

 

硬さを表しているところに「ふつう」とか買いてある。「かため」にすれば良かったのかもしれないと、「かため」を探しても見つからない。「わいるど」とか「らぎっど」とかいうのがあったら買いたいと思うけど、アメリカの歯ブラシにはそんな表示があったかも覚えていない。

 

アメリカは歯医者の保険がないことが多い。そのため、歯のメンテナンスは各々が頑張ってやっている感じがある。フロスをこまめにしているのもそういうことだろう。アメリカに住んでまず馴染まなければならないのが歯のメンテナンスかもしれない。「奥まで届く」のも必要かもしれないが、これは結局、日本での生活において「奥まで届く」ことが必要で、奥まで届くためには優しいタッチで届かせる必要があるということかもしれない。

 

しかし、そんな優しさでは、僕の歯と歯茎は物足りない。

 

アメリカの歯ブラシが頑強なのは、頑強な歯と歯茎になってくれ! という願いがあったのかもしれない。あの歯ブラシが恋しい。