いつも困っている

家事と育児(三人姉妹で二人は双子)に対峙する男の日々

駐輪場に困る!<下>(主夫篇)<犯人が分からないときはだいたい組織ぐるみ>

バレるサボりや不正は数字が出ているものだったりする。昔のバイトではビールを盗んだやつがいた。そんな話から名古屋のURの場合も書いてみました。

 

困ったことがあった。

 

吸い殻作りの名人である店長に、僕を含めた4人が呼び出された。この4人は店長の不在時に1人で店を任されることが多い4人で、僕が一番年下で下っ端だった。この4人を疑うのは当然かもしれないけど、全くの検討はずれでもあった。この4人も手抜きやサボり、そして不正もやっているから、清廉潔白じゃないし、叩けば埃も出る4人ではある。しかし、僕らは暗黙の了解で、バレないようにやることと、バレても笑って済まされる程度のことをやるというのが共通認識だ。互いに苦労人であるのは知っていたし、バイトが急にクビになれば困るのは僕らだったというのもあって、危ない橋は渡らないけど、ちょっとくらいの美味しい思いはさせてもらうという感じだった。

 

店長に疑われたとき、深夜のエースがちょっと怒った。この人は怒ると怖い人であまり笑わない。家族仲が悪いらしく、家出同然で東京に出てきてバイトを二つ掛け持ちしているということだった。彼の不正は、残り物のご飯をタッパーに入れて持って帰ることと、僕と同様に休憩を返上しながらも暇な時間に厨房で寝ていることくらいだった。僕にこの不正を教えてくれたのは彼で、サボりの師匠でもあった。彼にしてみたら、バレるような不正をするわけないだろ、というような怒りだったのかもしれない。

 

「ちゃんとシフトとビールの数量変化を確認して疑っているんですか?」

 

最もな理由だった。店長は吸い殻作り以外は迂闊な人だった。

 

僕には犯人の心当たりがあった。1ヶ月くらい前に入ってきた大学院生で、僕の4つくらい年上の人。明るい人でよく笑っていたけれども、人を小馬鹿にしたところがあった。彼が犯人じゃないかと思ったのは、彼がバイトに入っているときに彼の友人たちがお店に来ることが何度もあって、小さいけれど1階と2階に分かれている店だったので、彼の友人たちのように複数人のお客さんは2階に上がってもらうこともあった。2階にもビールの冷蔵庫がある。彼の友人が来ると、彼は2階の担当をやりたがった。1階と2階を往復するのが大変だから、いつもは年下の僕がやっていた。

 

彼の友人たちが帰ってから2階を片付けていると、冷蔵庫のビールが減っていた。空き缶がゴミ箱にあったから、ビールを注文しただけかと思っていた。会計は彼がやっていた。そしてそんなことが何度かあって、ひどいときには冷蔵庫のビールが半分くらいなくなっていた。空き缶はそんなになかった。持ち帰ったのは明らかだった。

 

「さっきのお客さんの伝票を見せてもらえますか?」

 

と彼に聞くと、探すフリをして、伝票がなくなっているとか言い出した。伝票がなくなるのはよくあることだけれど、ビールがたくさん減っていた伝票がないのもおかしいし、レジを見れば分かることだった。しかし、そのときは、まあ、僕じゃないしいいか、みたいにスルーしていた。それから一週間くらいで店長からの呼び出しだった。

 

店長に彼のことを告げるべきか迷っていた。すると店長は、僕と同じ歳の根暗な青年が犯人じゃないかとか言い出した。これは参った。根暗な青年は無愛想だし、挨拶もロクにできない、けれど、ビールを飲みそうじゃないし、友人たちとビールを飲むような感じもない、そもそも友人がいるかも分からないタイプの青年だ。

 

「ビールはどのくらいなくなっていたんですか? ビールを冷蔵庫に入れているのは、ここの4人ですから、ビールをたくさん補充した日の前日のレジとその日のシフトを見れば絞れると思います」

 

そして僕が入っている日であることが分かる。もちろん、僕はビールを盗んでいないし、他のバイトも、僕の日頃の動きからビールを盗むことはしないことはわかっているというか、そもそも、犯人である大学院生のことを、ここにいる4人は最初から疑っていた。僕の入っていた日に、団体のお客さんがいなくなったあとにビールがなくなっていたことを話した。すると、別の人からも変な話があった。

 

「勝手口の外にビールが一箱あったんですよね。なんだろうと思っていたら、裏口に彼(大学院生)が現れたことがありました」

 

そんなことまでしてたのか、と驚いたのと、僕だけの告げ口で犯人が決められなくてよかったとほっとした。

 

こうして無事に犯人が特定された。大学院生はバイトを辞めた。店長が大学に言うとかなんとか言うと、彼の親まで来て謝罪したようだった。彼は泣いていたという。24,5歳にもなった子の不正に、親が出てきて謝罪する親も親だと思った。そんな人が研究者になるのか、企業に勤めるのか、教師になるのか分からないが、ロクなもんじゃないと思ったものだ。

 

あと、なぜか根暗な青年も疑われたままだった。レジのお金が大きく合わないときは、この根暗な青年の入っているときだったということだった。犯人とされたわけじゃないけど、この根暗な青年もいつの間にか辞めていた。僕は僕でもっと美味しい仕事が見つかったのでしばらくして辞めた。数年後、その店の近くを通ったら違う店になっていた。

 

思い出話がいきすぎてしまった。

 

話を戻すと、URの掃除はまだあれとしても、放置自転車の撤去は数字に残る。この不正も、ビール事件のように明らかになるだろうと思っていた。だけど、これもうやむや。ただ、もう一度、自転車撤去をするということだった。そして20台くらいの自転車が撤去された。

 

これで僕の自転車も、長女の自転車も置けるようになったかと思ったら、今度はまた別の自転車たちで占拠されてしまった。明らかにボロい自転車も撤去のラベルが貼られたあとにラベルが剥がされて、残っていた。URの住民の駐輪管理のために登録制にしたらいいと提案したけど、それはしないようだった。ビール事件のように解明されないのが名古屋のURだ。

 

先日、また共益費の明細が来た。掃除は2週間に1回もされていないし、自転車の撤去も中途半端だけれども、明細を見る限りは、昨年と同じ料金が支払われていた。もう、苦情を言う気も起きないので、新居ができるのを楽しみにしています。