いつも困っている

家事と育児(三人姉妹で二人は双子)に対峙する男の日々

住宅展示場に困る!(新築篇)<スミリンと一条と三井のモデルルームを見た>

「とりあえずモデルハウスをめぐってみた」

 

困ったことがあった。

 

比較的近所に住宅展示場があるため、土日などは住宅展示場のイベントに行くことがあった。プリキュアアンパンマン、すみっコぐらしなど、3人姉妹が好きなイベントがたまにやっている。

 

妻が長女を連れてプリキュアショーを見に行った。妻はどうやら前々から家を建てたいと思っていたらしいけれど、東京、ボストン、東京、そして名古屋と数年の間に引っ越しばかりして、すっかり疲弊した僕が乗り気じゃなかった。僕は家を買うにしても数年後でいいと思っていた。

 

妻も僕に合わせてか、数年後のためにどんな家があるのか見たいなあ、という程度だった。妻と長女が展示場をぶらついても話しかけてくる営業さんはほとんどおらず、興味を持ったところに行こうとしても「今度、旦那さんと一緒に来てください」と言われて腹が立ったそうだ。

 

そんな中、気さくに話しかけてくれたのが、一条工務店さんだったというのはすでに書いたと思う。家に帰ってきた妻は、すっかり一条さんで家を建てるつもりになっていた。

 

僕は10年以上前に新築一戸建てを既に建てたことがあるという経験から、家は高気密高断熱が重要で、性能を一番に見なければならないと思っていた。家を建てるというのは、夢とかあこがれじゃなく、とことん現実的な問題なのだ、家は、性能だと妻に言った話も書いた。

 

一条工務店のキャッチコピーは「家は、性能。」というものだ。まさに僕が思っていたことだった。妻から話を聞いて、カタログを見て、一条工務店に惹かれていた。10年以上前だと、機密性を表すC値などを大々的に謳っているハウスメーカーはあまりなかった。当時は、気密検査を自費で行った。

 

一条工務店は機密性のC値はもちろん、熱損失を表すQ値にしても、当時はあまり言われていなかった断熱性を表すUA値などを数字で出していた。家を建てる場合は、このC値、Q値、UA値の成績がいい家にするべきだと僕は思っていた。

 

また一条工務店の広告はアメリカでも見ていた。それだけのことに親しみも感じていたということもあって、僕と妻の時間が取れた平日に散歩がてら住宅展示場に行ってみることにした。土日の混雑した住宅展示場に幼児3人を連れて行っても、営業さんの話を聞くどころじゃない。

 

平日ということもあって、閉まっているモデルルームばかりだった。

 

展示場に行くときに、一条工務店の話を妻としていた。この話が一条さんを検討するときに、ずっと引っかかることになる。

 

「資料を見ていると、一条さんは床暖房が標準ってことになっているけど、高気密高断熱の家なら床暖房はいらないと思うんだよね。寒冷地ならいるかもしれないけど、温暖な東海地区なら尚更いらないと思う」

 

そんなことを話しながら、入り口近くで見た目がカッコよかった住友林業さんに入ってみた。

 

展示場に行く前から、いくつか候補があった。一条工務店スウェーデンハウス三井ホームなどの2*4、2*6の工法を取り入れているハウスメーカーと、在来工法の住友林業。軽量鉄骨の家は僕らには合わないと考えていたので、木造を中心にこの四つ。住友林業さんだけ軸組ではあるけど、軸組における間取りの自由さがどういうものかも気になっていたし、構造的にも良さそうな気がした。

 

住友林業さん、通称スミリンさんのモデルルームはまさに夢のおうちだった。素敵すぎた。素敵すぎて、なんだか別世界だった。これはきっと宝くじが当たらないと買えないレベルな気がした。素敵すぎて引いた。

 

モデルルームは多くのところが値段の高い家を建てて夢を体現している。その夢の最終系がモデルルームだとは以前から思っていたけれど、スミリンさんの夢は僕らには遠い夢に思えた。この夢に縋ってスミリンさんで家を建てたら、夢のカケラみたいな家になりそうな気がした。

 

そう、僕らは土地も買わないといけない。土地持ちだったら、予算を全部家に費やして、スミリンさんでドーンとした夢みたいな家を建てるのもありかもしれない。スミリンさんの素敵なドイツ製とかのキッチンを触りながら、どうやって換気するんだろうと思っていると、スイッチで換気扇が出てくる仕掛けに驚いて、夢から覚めた。このキッチンだけで目の玉が飛び出る値段に違いない。

 

スミリンの案内をしてくださった女性にお礼を行って外に出た。ちょっと行ったらまたスミリンさんがあったから、そっちも見てみた。こっちは成金趣味というか、金持ち金持ちしすぎて、夢から覚めてよかったと思った。きっとお金が唸るほどある人が建てるのがスミリンさんだとか勝手な偏見を抱いた。

 

値段が高いハウスメーカーだと僕が思っていたのは、スミリンさんじゃなかった。スウェーデンハウスさんが高いと思い込んでいた。スミリンさんのあとはスウェーデンさんだと思って行ってみたけれども、誰もいなかった。そして当初の目的でもあった一条さんに行ってみた。

 

一条さんに関してはすでに僕は学習済みだった。妻に話しかけてくれた営業さんは、その日は不在だったけれども、別の営業さんが熱心に説明してくれた。その度に、僕も補足して、妻を洗脳するみたいに、一条さんの性能の話を営業のお兄さんとサラウンドで続けていた。

 

「こんなに家自体の性能がいいなら、床暖房っていらないんじゃないですか?」

 

「うちは床暖房が標準設備なんです」

 

一条さんで建てるなら、床暖房ありきということだった。床暖房が悪いわけじゃないが、全館床暖房によってヒートショックなどを起きにくくするというのも分かるし、年をとったら床暖房が欲しいと思うかもしれないけど、全館床暖房にすることによって間取りの制約は生まれてしまう。以前建てた高気密高断熱の家は床暖房がなかったけど、十分、どの部屋も温かかった。温暖な地域というのもあるし、必要のない設備を標準でつけられてもなあ、と漠然と思っていた。

 

とはいえ、一条さんの設備には惹かれるものも多い、窓にしてもクリプトンガスというこれまた、必要以上の断熱性能を得るガスが充填されている。壁の断熱材もダブルだ。高気密高断熱を目指すものにとって一条さんは理想型だろう。また、2022年からは、人気のiスマートとグランセゾンを合体させたようなグランセゾンというのが出た。これでいいんじゃないかと思った。

 

僕らは一条さんで建てるつもりになった。グランスマートという商品はお値段もそんなに高いわけじゃないし、きっとオプションをそこそこつけても予算内でおさまるような気がした。まだ土地も見つかってないから、大まかな予算でしかない。土地、建物で6000万円から7000万円くらいの予算で考えていた。土地は40坪くらいで、建物は二階建ての35坪程度。土地に2500万円、建物に3500万円なら6000万円だ。土地購入の手数料やらなにやら、住宅ローンの諸経費、そして建物だってきっとオプションをつけることになるのだから、なんだかんだと、7000万円近くになるかもしれない。それに、駅から離れた場所なら車も買うことになる。5人家族の車なのだから、いろいろ混みで500万円は必要になってしまうだろう。車は住宅ローンに入らないから、預金から多めに出すとすると、7500万円くらいのローンを組むこともあるかもしれない。7500万円のローンであれば、低金利時代の今なら、家賃程度というわけにはいかないけど、家賃プラス10万円くらいで返済もできる。妻の稼ぎに感謝した。

 

そんな僕らの予算から見れば、一条工務店さんの商品はちょうどいい感じがした。とりあえず、次は担当の営業さんと会う約束をしてモデルルームを出た。

 

次は三井ホーム。これは友人も家を建てているというのもあって、検討するなら紹介してもらえるということだった。三井ホームさんといえば高いハウスメーカーというイメージもあったので、標準仕様で建てるだけで精一杯になるような気がしていた。

 

そうそう、モデルルームでアンケートを書いてしまうと、担当がついてしまう。何も当てのないスミリンさんや、一条さんではアンケートを書いたり、営業さんに会ったりしていたけれど、紹介などをされるときには、アンケートには書かない方がいい。紹介がある場合は、モデルルームにふらりと訪れたにしても、「紹介される予定なので、今回は見学だけです」といえば、アンケートに書くこともない。

 

そんな感じで三井さんのモデルルームに入った。三井さんのラインナップでもちょっとお高めの商品ということもあって、そこそこ豪華だった。でもスミリンさんほどじゃない。なんとなくそこで生活することが考えられた。ラナイやファミリールーム、ヌックなど、昔は考えたこともない、家族で共有する場所が提案されている家だった。妻が惹かれているのが分かった。

 

「スミリンさんより手が届きそうな気がする」

 

「とはいえ、三井さんだから、予算は軽くオーバーするよ。あこがれよりも性能が大事だ」

 

僕はすっかり一条信者になっていた。

 

友人から紹介されるはずの三井の営業さんからはまだ連絡がなかったというのもあるから、僕はぼんやりと三井さんの家を見ていた。妻が熱心に説明を聞いていた。

 

こうして、僕らは三つのハウスメーカーを検討することになった。一条さん、三井さん、スウェーデンさんの3社。スウェーデンさんはまだお会いできもいないけど、僕が10年以上前から気になっているところだ。まだ土地は決まっていなかった。

 

三井の営業さんから連絡があり、一条さんとの打ち合わせの後で三井さんにも会うことになった。第一候補は一条さんになっていますと、一応、前もってお知らせしておいた。