「なんだか惹かれる異国の洗濯機」
困った事があった。
帰国して新居に引っ越すときにすぐに買わないといけないと思ったのが、ドラム式洗濯機だった。当時は、乳児が2人、幼児が1人ということで、洗濯物が毎日大量に溜まっていた。
いまは乳児から幼児へと双子が成長したため、幼児3人。洗濯物は多いけれど、乳児の頃の洗濯の比じゃない。赤ちゃんは数時間ごとに汚れる。
乳児の世話は計画通りにいかない。オムツを変えるときに衣類も替えることになるのは、排泄物関係が主な理由。上からも下からも何かしら汚れる。それに妻はきれい好きというのもあって、ちょっとミルクや母乳が乳児の衣類にかかっても着替えさせる。洗うのは僕だ。
乳児は着替えさせた瞬間にまた汚してしまうこともある。オムツを交換しているときに、また排泄というのがある。追いうんちと呼んでいた。
とにかく乳児は洗濯量が多い。衣類やクッション、シーツと洗うものがやたらある。
双子はまた倍だ。倍じゃ効かないかもしれない。隣り合って寝ている双子は、汚れ物に惹かれ合うのか、せっかく着替えた方が、わざわざこれから着替えさせようとしていた方の汚れている箇所に乗っかってしまうこともあった。
いまでも、一人のオムツ交換をしているときに近づいてきて、わざわざ汚れたオムツを踏んでしまうこともある。
双子の衣類汚れは倍以上だ。1+1=2以上になるというのはこういうことかもしれない。
そんな家庭にはどういった洗濯機が必要になるだろう。
ドラム式洗濯機は洗濯から乾燥までやってくれるので楽だ。ドラム式乾燥機は衣類を傷めやすいから衣類に使用しない方がいいとは思いながらも、子供たちの服はすぐにサイズアウトしてしまうし、僕や妻の服でも多少傷みがはやくても気にならないものがある。
そんなときには楽なドラム式洗濯機がいい。朝に運転させて午後に回収、夕方に運転させて夜に回収。洗濯と乾燥で3時間から4時間かかるけれども、洗濯量が追いつかない日は1日2回は洗濯している。また、デリケートモードの洗濯のみだけも入れれば、朝に白物をデリケートモードで洗濯して干して、次に色物を洗濯、そのあとに子供たちの衣類やシールを洗濯乾燥して、夕方にまた洗濯乾燥ということで、4回もドラム式洗濯機を回すこともある。
ちなみに、デリケートモードで最初に白物を洗うのは、前日の乾燥モードによってドラム内に溜まっている乾燥した埃を流すためでもある。色物だと細かい白い埃が目立ってしまうが、白物なら目立たない。埃はついているのかもしれないけれど、目立たなければいいと僕は思ってしまう。
洗濯槽洗浄というモードもある。たまにドラム内の埃が多いときにはまず洗浄をしてから、洗濯をすることもある。でもなんだか損した気がするのでできるだけ白物を洗うことで洗浄した気になっている。結局、見た目にわかりにくければいいと思っている。
とはいえ、ドラム式洗濯機は乾燥までやると時間がかかる。それと乾燥モードのせいで、僕にはメンテナンスできないところに埃がたまっていくのか、使用して三年くらい経つと、乾燥後にドラムを回すとキュッキュと音がするようになってきた。びっしり埃が溜まっているのかもしれない。僕が好きな隙間の埃が僕に取れないところにある。
分解してみたいと思った。ユーチューブなどで分解動画を見ているとむずむずしてくる。しかし、このドラム式洗濯機を分解したとして、元に戻せるだろうか? 元に戻せなかったとしたら、洗濯ができなくなってしまう。どうしよう。掃除機くらいなら分解して埃取りなどをするけれども、ドラム式洗濯機となると難易度が高い気がした。
分解しなくても、こんなにハードに使っていたらすぐに故障してしまうんじゃないか、とか思うようになってきた。
5人家族はもしかしたら、洗濯機2台とか必要になるのでは? と思うようになってきた。
想像してみよう。
一つはドラム式洗濯機でいい。いまあるやつでもいい。もう一つは縦型にしてみるとどうだろう。温水も使えるものにすれば、デリケート物も汚れのしつこいものも洗えるんじゃないだろうか。またどちらかが壊れたとしても洗濯が全くできなくなるという恐怖の1日を体験しなくていい。次に引っ越したらそうしてみようと思って、2台目の洗濯機をどれにするかチラチラと調べていた。
でも、そういうときに限って余計なものを見てしまう。
外国製の立派なドラム式洗濯機が目に入った。専用の洗剤を使って、衣類によって勝手に洗剤を調合してくれるらしい。立派なやつだ。お値段を見てみると、これまた立派だ。
今のドラム式洗濯機だって結構高かった。いくらだったか忘れてしまったけれども20万円は超えていたし、まだ3年だ。たくさん使っているけれどもまだ3年だ。なんだかまだ元をとれた気もしない。あと10年くらい使いたい。最初の住居用に買ったので、いまの設置場所だと扉開き方を逆にしたいと思うけれども、あと10年は使いたい。
でも、かっこいい外国製のドラム式。値段は50万円を超えている。どうなんだろう。調べれば調べるほど欲しくなる。新居にはこれをつけた方がいいんじゃないかとか思ったりしている。シルクやウールをこいつで洗ってしまえば、クリーニング屋さんに行かなくてもいいんじゃないか。でも、そもそも、家で洗濯できない衣類はあまり買わないようにしているから、クリーニング屋さんだってしょっちゅう利用しているわけでもない。とはいえ、僕のお気に入りのウールジャケトや妻のお気に入りのシルクのブラウスをこれで洗えたら楽しいんじゃないかとか思ってしまった。
急に夢から覚めた。僕が探していたのは、縦型の洗濯機だった。
ミーレのことはしばらく忘れよう。10年後まだ心惹かれていたら、うちのドラム式を僕が分解してしまったら、故障して修理代もバカにならないというようになったら、また思い出そう。どうやら、ミーレの洗濯機は重いから、置く場所を頑丈にしなくてはならないらしい。幸い、新築予定なので、未練がましく、ミーレが置けるように洗濯機置き場を作っておくのもいいかもしれない。やっぱり一度見た夢はなかなか忘れられないようだ。