いつも困っている

家事と育児(三人姉妹で二人は双子)に対峙する男の日々

不動産屋に困る!(新築篇)<どんな不動産屋が信頼できないか>

「まだ会ったこともない相手に個人情報を渡せるのか?」

 

困ったことがあった。

 

土地を探していた。こんなときインターネットはとても便利だ。1週間ほど気になる地域の土地を物色していると、だいたいの地価も分かってきた。安いと思う土地は駅から遠かったり、建蔽率が低かったり、擁壁が必要な場所だったりと何かしら理由がある。建蔽率が低いところは擁壁があるところだったりすることも多い。

 

擁壁はやっかいな存在だ。土地が崩れないために頑強な擁壁を築かなければならない。石垣みたいなものだ。高低差が大きい土地の場合に擁壁はある。

 

以前、東京で土地を探していたときに、値段と場所と面積だけで探していたものだから、これはいいんじゃないかと思って、不動産屋さんに連れて行ってもらうと、擁壁がある高台だったことがある。擁壁の工事に600万円くらいする、ということだった。単純な足し算をすれば、その辺の土地と同じくらいだ。しかも高台だから毎日階段を昇り降りする。そうなると、擁壁が必要な場所は一般的にはそんなにお得とは言えないだろう。

 

もちろん、土地には好みもある。擁壁に石垣のロマンを感じる人もいれば、健康のために階段が欲しいと思っている人もいるし、なによりも高台が素敵と思う人もいる。そういう人からすれば擁壁の代金などはなんでもないことだろう。土地の高い安いなんてものは、結局、その人がそこに価値を見出したのなら、一般的な判断なんて気にしなくて構わない。誰もが投資目的で土地を買うわけじゃない。投資目的なら売るのが少し難しくなる擁壁のある土地や、建蔽率の低い土地は買うべきじゃないというのが一般論としてあるだろう。

 

もう一つお得な土地の形態は、旗竿地と言われるもので、四方が住宅に囲まれる場所というか、道路から細い道を通って建物を建てる土地があるものだ。道路を竿、土地を旗に見立てることから旗竿地と言うのだと思う。

 

東京で土地を買ったときには、旗竿地を買った。旗竿地はお値段が安い事が多い。四方が住宅に囲まれるというのもあって、住んでみて思ったのは、やっぱり人目が気になるというものだった。四方が住宅ということで2階リビングの間取りにしたら、隣のアパートの住人と朝昼晩と目が合うこともあった。

 

旗竿地のデメリットは住んでみて分かるものと、住む前から分かるものがある。新築の家を建てるときなどは、竿の部分の道路が狭いためクレーン車が入れずに、手運びになってしまって別途料金が発生することもある。また、竿の部分の道路の所有権があるのかどうかでも変わってくる。異様に安い旗竿地は、道路の部分の所有権がなかったりする。気を付けるポイントだと思う。

 

駅からの距離とか、どの辺の地域かということ以外に、土地探しはこの二つくらいしか気をつけていなかった。擁壁のある土地は除外していたけど、旗竿地は竿の部分の道路の幅と、所有権に気をつければお買い得な土地にもなるから、それはそれで検討していた。

 

ネットではできるだけ、安い土地を探した。すると、長久手市日進市に予算的にも優しい旗竿地があった。とりあえず土地見学を申し込むことにした。不動産屋に、連絡の希望時間等を書いて申し込んでみた。

 

希望時間外に連絡があった。電話に出られなかった。掛け直せないでいると、夜の8時くらいのこれまた希望時間外に電話があった。育児で慌ただしい時間だ。

 

不動産屋と会うことになった。すると、源泉徴収票と免許と保険証を持ってくるように言われた。まだ買うと決まったわけもないし、探し始めたばかりというのもあって、もしいい条件の土地だと思えるところがあったとしても、今回はスルーして、時間がかかっても納得のいく土地を探すつもりだったというのもあって、突然、源泉もってこい、というのは少しビビった。会ったこともない人というか、どんな会社かも分からない。それに希望時間を書いたのに、それすら無視する不動産屋だ。印象は悪かった。

 

「まだ土地を探し始めたばかりで、どの地域がいいのかすら分かっていない状態というのもあり、源泉徴収などをお見せするつもりはない。無理なら他の不動産屋にするから結構です」

 

「いい土地が出たときにすぐに抑えられるようにそれらの書類が必要なだけなので、今回は持って来なくてもいいです」

 

約束の日時に手ぶらで不動産屋に行ってみた。

 

「お問い合わせのあった土地はちょうど売れちゃったみたいです。いい土地はすぐ売れてしまうんですよね」

 

これまたお約束だった。まあ、釣りの土地だったんだろうと思った。そういうことをする不動産屋は怪しい。怪しくないまでも、ガツガツしている。

 

その日にもいくつかの土地を勧めらた、長久手、日進以外の土地だった。その地域はハザードマップを見てすでに候補から外していた。

 

ハザードマップだとこの辺は液状化とかの可能性もありますよね」

 

ハザードマップだとそうかもしれませんが、名古屋との通勤は便利な場所ですよ。うちの上司がこのあたりに住んでいるんですが、名古屋も車ですぐなのでよく会社の仲間で遊びにいるのでおすすめです」

 

会話が噛み合わなそうな気がした。

 

「とにかくいい土地は、金利の低いというのもあって、すぐに売れてしまうので、できれば次回は源泉なども持ってきていただけると、優先的に抑えることもできるので検討してみてください」

 

昔、僕が営業の仕事をしていたときに、名古屋の交通費や宿泊費を出すし、出張費も出すから、名古屋で営業してきて欲しいと言われた理由が分かった気がした。

 

その不動産屋さんからは、二、三日中に希望に近い物件情報を郵送しますと言われたので、二、三日待つことにした。営業さんはちょっとあれだけれども、いい土地があればそれはそれで連絡しようと思った。

 

物件情報なるものは郵送されて来なかった。

 

2週間くらいして、5回ほどその不動産屋から着信があった。もちろん5回とも希望時間外だ。

 

3人の幼児にご飯をあげるのはとても大変だ。ご飯を投げたり落としたり、スプーンを何度拾ったか分からない。次女が落としたご飯を三女が踏んで歩き出したりする。そんな中、電話がかかってきた。

 

「なんですか?」

 

「おすすめの物件がありまして」

 

「最初に連絡希望時間というのを書いたんですけど、一度も希望時間にかけて来ないのはどういうワケですか? あと土地情報を二、三日で郵送すると言いながら、2週間経っても何も来ていないのですが」

 

「担当じゃないのでわかりません、確認してみます」

 

それから、その不動産屋からの連絡はなくなった。その後二週間ほどして、僕らはこれだと思う土地に出会って申し込むことになる。もちろん、この不動産屋とは全く関係ない。ちなみに、この不動産が少しでも絡んでいる物件は意図的避けて探していた。

 

その不動産屋について、知り合いに聞いてみると、「ガツガツしたところで、営業の入れ替わりが激しいところだけど、元気だけはあるよ」ということだった。元気はあったと思う。でも元気だけで高い物は売れないよ、と思った。