いつも困っている

家事と育児(三人姉妹で二人は双子)に対峙する男の日々

市役所に困る!(自閉症児篇)<まるで昭和な市役所の対応だった>

「要件は聞いてくれたけれど...」(長女3歳9ヶ月)

 

困ったことがあった。

 

自閉症児の長女が保育園に通うために、東京から名古屋の保育園に長女を連れて見学や面談をし、障害児であることを説明し、必要な配慮についても話した。中には、障害児というだけで入園を断るとまではいかなくても、15時までしか預かれないという保育園もあった。もちろん、公立の保育園だ。このことは、区役所で相談したときに、「そういう保育園もありますね」ということで、保育園の主張を認めているということだった。障害児育児初心者の僕らもそういうものかと違和感は覚えながらも仕方ないと諦めた。

 

長女が通うことになった園は障害児も受け入れる保育園だ。この園に通う障害児の保護者たちは「預かってもらえるだけありがたい」「他では見学の問い合わせでも嫌な顔されたのに、この保育園は受け入れてくれるのだから文句言えない」という感じになっている。地域性もあると思うが、なんだか変な感じがする。障害児の保護者が変というのではなく、障害児やその保護者をこんなふうに追い詰めてしまっている環境が変だと思う。

 

そんな地域の<障害児を受け入れてくれる>保育園の中で、面談や支援計画を担任と主任と同席しながら2回話した。主任の保育士が言っていたことが嘘や誤魔化しの類だったことはそのときは気づかず、そういうものなのかと主任の言葉を信じていた。その後も、長女の保育環境がよくないと思うことがあり、説明や配慮を担任や主任、園長に求め、話し合いもしたけれども、明文化されてもいない保育園の規則や、名古屋市の規定などを持ち出されて、一向に配慮をしてくれる気配がなかった。

 

そんなことから社会福祉協議会に相談した。協議会は何の役にもたたなかった。そのため、市役所に連絡することにした。流石に市役所なら困っている現状に対して何か適切なアドバイスをしてくれると思った。

 

市役所の職員さんはフランクな方で、僕が話す長女の保育環境に同情もしてくれた。また、保育園の主任が言ったような、「名古屋市では加配担当は1人の加配児童につき1日3時間」という規定については名古屋市にそのような規定はないけれども、主任保育士がどのような意味で言ったのか分からないので確認するということだった。僕としては、何度も話して確認して言われた名古屋市の加配制度に関する規定なので何を確認するのか分からなかった。今考えれば、これも誤魔化しや隠蔽をするために内部で確認をするということだったのかもしれない。

とはいえ、市職員の方に長女の現状が伝わった。

 

市職員からは、部署を跨ぐ問題もあるので、長女が辛い思いをしている中申し訳ないが少し時間をください、ということだった。また、指導などに時間がかかりそうなときには、進捗を連絡するということだった。

 

2週間待った。連絡はなかった。

 

市職員から言われていたメールアドレスに進捗がどうなっているのかというメールを送った。返事はなかった。

 

翌々日あたりに電話をしてみた。

 

「メールは届いてますか?」

 

「届いてますよ」

 

「進捗はどうなってますか?」

 

「まだ時間がかかりますね」

 

「何をしているんですか?」

 

「現在は事実確認です」

 

2週間経って、事実確認だった。

 

「事実確認はどんなことの確認をしているんですか?」

 

「保育園の言い分もあると思うので聞き取りをしています」

 

「加配制度の一人3時間などは結局、名古屋市の規定だったのですか?」

 

「それはお答えできません」

 

何を聞いてもこの調子だった。最初の相談の後に、困っていることを文書でまとめて送って欲しいと言われて送ったメールにも、もちろん、主任が何度も言ってきた名古屋市の規定のことは書いてある。メールがありがたいのは後で言った言わないにならないからだ。僕もそれなりに人生経験を積んできたからか、言った言わないにして誤魔化す人たちが結構いることくらいは知っている。だからできるだけメールにしてほしいとお願いするし、重要なことはメールにもきっちり書く。誤魔化そうとしなければ、メールでだっていいはずだ。

 

市職員の返事は、しばらく待ってほしいということだった。

 

それから2週間また待った。何の連絡もない。

 

最初の連絡から1ヶ月経った。長女は玄関で泣きながらお漏らしをしている。

 

メールをした。

 

すると翌日に、違う部署の方から、事務的なメールが来た。内容は、保育園に現場を確認して、問題があれば指導するというようなことだった。僕が求めていた名古屋市の規定などは一切なかった。何も言語化されていなかった。事実確認や現場確認は1ヶ月間したはずなのに、また確認だ。東京では1日で済んだことに1ヶ月もかかった。

 

しかし、その1ヶ月の間に僕は保育園を取り巻く法律をたくさん勉強した。障害者に対しる法律も調べていた。保育園は児童福祉法や障害者差別解消法に違反している可能性があることは、協議会や役所からは何も教えてもらえなかった。インターネットのおかげで法律違反の可能性を考えるようになった。

 

この後、僕は名古屋市役所と戦うために、さまざまな機関に連絡をした。内閣府厚生労働省総務省から愛知県などにある行政機関や、市議や新聞社なども含めてたくさんに人に電話やメールをした。中にはあまり関係ない機関もあったみたいで、つっけんどんな対応をされたり、関係ない機関なのにも関わらず、丁寧にアドバイスしてくれるところもあった。

 

名古屋市以外の行政機関が口を揃えて言っていたのは、「政令指定都市は独立行政なので、地方自治を侵害しないために、直接の指導ができない」ということだった。

 

政令指定都市は、自浄作用がないとただの殿様役所になってしまう。これが御三家、尾張藩か、と思った。江戸時代の町民や農民みたいな気持ちになって、僕は名古屋市と戦う決意をした。