いつも困っている

家事と育児(三人姉妹で二人は双子)に対峙する男の日々

思いつき発言に困る!(再東京篇)<独自のルールを言い出す人>

「園長、それは聞いてませんよ」(長女2歳10ヶ月、双子9ヶ月)

 

困ったことがあった。

 

東京では、長女と双子の次女三女は別の保育園に通っていた。毎日の送り迎えは往復で3時間くらいになる。3人の育児を家ですると在宅の仕事などできるわけもないし、妻も僕も在宅が多いとはいえ、2人とも外出しなければならないこともある。

 

僕の母が自転車で15分くらいのところに住んでいるけれども、世の中には使えるばあばと使えないばあばの二種類のばあばがいて、母は使えないばあばに属する。介護がないだけよかったと思っている。電灯や携帯電話の交換、テレビの不具合や洗面台のタオルの位置の調整など、ずっと近くに住んでいた弟には頼みづらかったのか、「前々から気になっていたのよ」と言って、僕に連絡がある。親孝行のつもりで週に一度くらいは顔を出して、いろいろと直したりしていた。

 

ばあばをあてにするわけにはいかない。お金もないからベビーシッターなんかもっと無理。

 

そんなことから、二つ合わせて往復3時間になる保育園に通っていた。

 

長女の保育園は最初に少し揉めたけれども、そのあとの関係は良好以上の関係で、信頼のできるところだった。双子の保育園は保育士さんたちがとても親切で、最初からいい印象だった。とくに食事を作ってくれている保育士さんが器用な方で絵を描いたり、工作したりととても上手で、ゴミ捨てをしながらも子供たちを注意して見ていたりして、すごい人がいると思った。

 

双子の保育園の曲者は園長だった。

 

園長は男性で、どこか暗い感じのある人だった。僕とはじめてあったときも偉そうな感じで接してきたので、は?みたいな感じで見てみると、急にシュンとなった。コミュニケーションが苦手な人なのかな?くらいに思っていた。コミュニケーションが苦手な人は、偉そうに人に接してしまうことが多い。対等という関係が苦手なんだと思う。

 

そんなことがあって、園長は僕のことが少し怖がっていた。だんだんと普通になっていったけれど、保育園に通って3ヶ月くらいはおどおどしていた。

 

双子はアメリカ生まれだ。そのため予防接種などのスケジュールや種類が多少ずれてしまっていた。予防接種は妻の担当だったので、双子の予防接種のスケジュールも妻が調整して行っていた。

 

妻が困っていた。

 

「予防接種の翌日は保育園をお休みしないといけないんだって」

 

「そんなことどこに書いてあるの?」

 

「いろいろ見てるけど、どこにも書いてない」

 

「あの園長って、細かいこといろいろ言ってくるんだよねえ。なんか威圧的なんだよ」

 

「え、いつもオドオドしてるけど」

 

とそんな会話の中で、園長のやり方が分かってきた。人によって対応を変える表裏がある人は、嘘とまでいかないにしても、自分勝手な解釈をしてルールを理解しやすい。これは調べた方がいいということで、妻が役所に確認をした。

 

「そんなルールはありません。予防接種の翌日でも体調に変化がなければ、登園してください。すぐに園長に電話させてもらいます」

 

役所の対応は迅速だった。

 

園長からは電話はなかった。そしてそのまま何事もなかったように登園して、妻は園長を見かけたが奥から出てくることはなかった。僕がお迎えにいったときにも園長は奥にいた。

 

もし、こういうことが続いたら、園長にガツンと言おうと思っていたけど、こういうことはもうなかった。園長と僕の関係はどんどん良好になっていった。たまには冗談を言うくらいになっていた。

 

最初の頃、お迎え時間の10分前に着くと、園長から「こちらも準備があるので10分以上前に来られるときには電話してください」と苛立った感じで言われたことがある。

 

この保育園はお迎えの出入り口がとても狭い。お迎え時間に行っても10分くらい待つこともある。まあ、それは、園長や保育士さんのせいというよりも、2人ほど長居しがちなお迎えばあばと、話好きなお母さんが出入り口を塞いでしまうからなんだけど。

 

そういうことから、10分前にはお迎えに行くようにしていた。園長は何も言わなくなってきた。一度、出入り口が狭く混雑してしまうので少し早めにお迎えにはきますと言ったからかもしれない。

 

この園長が子供を叱っているのを見たことがある。結構、きつい感じで叱っていた。

 

「結構、厳しく叱るんですね」

 

と聞いてみた。それは、ちょっとやりすぎに思えますよ、と諭すようなつもりで言った。

 

「ええ、厳しく言わないと分からないこともありますから」

 

この園長と腹を割って分かり合うのは難しいなあと思った。長女の保育園の園長はいつでも腹を割って話せる感じになっていた。ラーメン屋さんで働いていたことがあるらしくて、見た目もがっちりしているもんだから、ついつい「店長」と呼んでしまうことがあったけれども、にこやかにお返事してくれた。