いつも困っている

家事と育児(三人姉妹で二人は双子)に対峙する男の日々

特撮ゴッコに困る!(再東京篇)<若いお父さんと若くないお父さんの場合>

「僕たちは破壊される街に住む」(長女2歳10ヶ月、双子9ヶ月)

 

困ったことがあった。

 

休日になると、長女を連れて公園に行く。今は双子も2歳を超えたので双子を連れていくことの方が増えた。双子が赤ちゃんのうちはなかなか外には連れて行けなかった。

 

休日の公園は、自転車で爆走する小学生や周りを見ずに鬼ごっこみたいなことをして走り回る子供もいてなかなか危ない。2,3歳の子を連れているとひやっとすることもある。たまに、わざと小さい子の前を自転車で通り過ぎてスレスレの技術を披露する子供もいるが、僕もそうだったからなんだか叱れない。

 

彼に言えることがあるとすれば、その技術を披露しても誉めてもらえないよ、ということくらい。たまに怒られるくらいだ。危険と技術が紙一重であると認識しているのは感度が高いと言えるけれども、知性が足りないと思われる行為でもある。

 

そんな子供たちの危険行為はだいたい察知できるし、危なそうなとこには行かないようにすればいい。

 

幼児が遊ぶスペースにキッズがいることもあるけど、公園を変えると幼児たちばかりの公園がある。引っ越したばかりの頃にはわからなくても、いくつか公園を巡っていると幼児が多めになっている公園を見つけることができる。

 

ギリギリのスリルを味わうキッズの多い公園に悩まされている幼児連れは他の公園を探してみることをおすすめします。

 

幼児が遊べる公園は、幼児だけがいるわけではない。当たり前だけれども、保護者がいる。お母さんかお父さんかおばあさんかおじいさんか親戚かシッターさんか分からないけれども、保護者と一緒ではある。

 

休日ともなれば、お父さんらしき人が保護者になっていることもある。僕もそうだ。公園に入ると僕の怪しげな風体からジロジロと見られてしまうこともあるけれども、保護者として幼児を連れている。仲間に入れて欲しいと思う。

 

保育園の登園降園でもよく思うことがある。お父さんらしき人たちは挨拶が苦手な人が多い。頭を下げても、声をかけても気がつかない感じで去ってしまう。

 

僕は、見た目が怖いとか、威圧感があると言われる。ちょっとガタイがいいと言われやすい体型というだけで、気さくで優しいおじさんだと思っているのに、怖がられてしまう。妻曰く服装のせいらしい。服は好きな服が着たい。たまにカウボーイみたいな格好をしているときは自分でもやりすぎだと思ってはいる。カウボーイの服装だってアメリカではウケていたみたいで、男女関係なくよく話しかけてもらった。

 

想像してみると、平和な幼児が集まる公園に、カウボーイみたいな服装をしたゴツい男が小さな子供を連れて現れた、ということなのだろう。考えてみれば、そんな人に挨拶されても気づかないふりをしたくなるのも分かる。

 

ここはテキサスじゃない。テキサスには行ったこともないけど。

 

そんな幼児が集まる公園で、若いお父さんらしき人が子供と特撮ヒーローゴッコをしていることがある。遊具を駆け登りジャンプして降りたりしている。ウルトラマンの何かか、仮面ライダーの何かだろう。

 

ウルトラマンにしても仮面ライダーにしても僕は詳しくないし、きっと特撮ヒーローのことを話しても世代が違うから噛み合わない。サンバルカンも伝わらない。

 

長女のときも、大きくなった双子を連れていったときも、そういう若いお父さんの特撮ヒーローごっこで遊具が使えなくて待っていることがある。

 

お父さんが怪人や怪獣をやって、子供がウルトラマン仮面ライダーになっている。そして、2人の戦いを僕らは見ている。彼らからすれば僕らはヒーローショーの観客なのだろう。少しサービスしてくれているような気がしなくはない。若いお父さんはたまにこちらを見て、「やられたー」と大きなジャンプをして遊具から落下したりもしている。若さって素晴らしい。若さって何だ?っていうのは、僕の世代の宇宙刑事の歌詞。

 

しかし、僕らは観客ではなかった。僕らもまたそのゴッコに参加しているのだ。

 

ウルトラマンと怪獣が戦っているときに、壊される街の住民の役として。

 

ウルトラマン仮面ライダーが平和のために戦ってくれているのはありがたいけれども、その戦いのために、住民たちのささやかな生活が破壊される。平和のために生活が破壊されるのは仕方ないのかもしれない。あちらは世界平和のために戦っている。世界の平和がなければささやかな生活だってあり得ないのだ。

 

「待とうね」

 

子供にそう言い聞かせる。10分待っても平和が訪れない。違う遊具で遊んでいると、娘たちが遊びたい遊具がやっと空く。

 

しかし、また世界の平和が脅かされる。

 

今度は全集中とかしている。若いお父さんも少し躊躇っていたけれども、僕らが平和のために避難すると、世界を滅ぼすために戦いはじめた。僕らも何かのゴッコに参加して被災した住民としてその場から離れた。

 

特撮とか漫画アニメごっこに特化した公園とかあると賑わいそうだと思った。