いつも困っている

家事と育児(三人姉妹で二人は双子)に対峙する男の日々

友人に困る!(再東京篇)<僕には何だか変な友人がいる>

「お小遣いとご祝儀をやりくりしている」(長女3歳、双子11ヶ月)

 

困ったことがあった。

 

20年以上の付き合いをしている友人がいる。昔からよく連絡をとっていたが、不思議と飲みに行ったりすることもない友人だ。なぜか定期的に電話をかけてくる。

 

たまに会うこともあったけれども、彼は忙しくしているのが好きなのか、僕と会うときには必ず、そのあとに用事があるか、その前に用事をいれる。外出するには二つ以上の用事を入れないといけないルールがあるような気がする。

 

長女が生まれた頃、突然、連絡があり、引越してから住所も教えていなかったので、新しい住所を教えるとご祝儀を持ってやってきた。用事があるとかなんとかいつもの調子で、すぐにいなくなった。

 

アメリカに行く前には盛んに電話があったが、渡米後はメールの一つもなかった。

 

帰国するとまた連絡があった。帰国した日に休止にしていた電話を復活させると、1時間くらい後に電話がかかってきたので、思わず後ろを振り向いた。いなかった。

 

彼は僕の帰国を知っていた。教えていないけれども、僕と繋がりのある人に僕のSNSをチェックさせていたらしく、そこから情報を得ていたらしい。別に喧嘩していたわけでもないし、直接メールでもくれればいいのに、なぜか、そんな変なやり方をする。

 

彼の話をすると、僕の友人たちは気持ち悪いという。僕も気持ち悪いと思うから、気持ち悪いと本人に言うと嬉しそうだ。本当に気持ち悪いと思っているのに。

 

帰国後の電話は、双子のご祝儀を渡したいから会いたいということだった。

 

彼は長女にも会っていないし、双子にも会うつもりはないようだ。ただ僕にだけ会ってご祝儀が渡したいということだった。ただ、僕もバタバタしているのでなかなか彼の指定するタイトな時間帯に予定を合わせることができないでいた。

 

18:30に彼の家の最寄駅などと、その日に電話で言われる。彼としては珍しく僕とお酒が飲みたいとのことだった。そして、電車が苦手だからということで常にバイクで移動している彼は、お酒を飲んだらバイクに乗れないということで、彼の家の最寄駅を指定したわけだ。

 

うちから彼の家の最寄駅までは乗り継ぎがあり、1時間半くらいかかる。

 

「そんなとこまで行けないよ」と僕が言うと、

 

「そこだって、うちからは遠いんだ、俺は妥協している」と彼は答えた。

 

彼が指定した最寄駅は、比較的僕が行きやすい方の駅で、彼にとっての最寄駅は、その駅から私鉄に乗り換えて二駅先になる。だから妥協しているとのことだった。

 

僕にとっては面倒なだけの提案だし、昔からのことなので、そっけなく断った。育児もしている中、わざわざ遠出して飲みに行くのも億劫だ。

 

彼から何度かお誘いがあった。徐々に場所の指定は近づいてきた。とうとう、僕の最寄駅になった。時間は保育園の終わりの時間から計算してもギリギリで、たぶん遅れると言っておいた。

 

彼は酔わないと電車に乗れない。そのため、当日の待ち合わせのときにもすでに酔っていた。また知らない土地に来るのが怖かったのか、久しぶりに僕と会うのが怖かったのか、共通の友人を連れてきていた。僕は保育園の帰りを急ぎ、3人の子供たちをお風呂に入れて、あとは妻にお願いして家を出たけれども、15分ほど遅れてしまった。現地に向かう間に何度も連絡があった。

 

久しぶりに会うと彼は緊張していた。そしてご祝儀をくれた。

 

もう1人の友人はなんだか分からないまま連れて来られてしまったらしく、ご祝儀を用意していないことを謝っていた。気の毒だった。またコロナの影響で金欠らしく、その日の飲み代もままならないから断ったのに連れて来られてしまったらしい。

 

なんだか気まずい感じだった。

 

その店はあんこう鍋がおいしいらしい、と言ってあんこう鍋を食べた。

 

「今日は朝まで飲もうぜ」

 

と彼が言ってきた。いやいや、そんなの無理だよ、とか話して育児の話をすると嫌な顔をしていた。出産のご祝儀もくれたのに育児の話をすると嫌がるというのもなかなか新鮮だった。

 

「そういえば、お小遣い制になってお金がないって言ってたけど、大丈夫なの?」

 

そんなことを聞いてみると、僕の帰国祝いと出産祝いということで、奥さんから特別にお金をもらってきたということだった。僕に会う前に、金欠の友人と2人で新宿で飲んだのもそのお金だということだった。人のお金だから何に使おうがいいけど、複雑な気持ちがした。

 

「この店も奢ってくれるの?」

 

と聞くと、割り勘とのことだった。金欠の友人の分を、僕と彼で割り勘するということだった。帰国祝いって何だろうと思ったけれども、彼らしいと思った。僕だって元から彼に奢られるつもりもなかった。

 

店を出ると、もう1軒だけ行こうと言われた。しかたないから一度だけ行ったスナックに行った。金欠の友人は帰った。

 

スナック支払いをしようとすると、彼はお金がないということだった。ご祝儀袋からお金を出して支払った。きっと最初からご祝儀で飲むつもりだったんだ思う。

 

店を出ると終電はなくなっていた。二つ隣の少し栄えた駅までの電車があったので、それに乗ってネカフェでも探すということだったので、ネカフェ代を上げた。

 

彼と飲みながら話していて、なぜ、僕と飲みたかったのかの理由は分かった。お小遣いだけだとなかなか飲みにも行けないから、僕の帰国と出産をネタにして奥さんからお小遣い以外にもご祝儀というお金をせしめて、1日遊びたかったということだったんだろう。もちろん、彼が稼いでいるお金だし、犯罪をしているわけでもないから構わないんだけど、奥さんを騙しているような気がして申し訳ない気持ちになった。

 

厳しいお小遣い制というのはこういうことになってしまうのか、とお小遣い制を妻が導入しようとしたら、彼の話をしようと思った。