いつも困っている

家事と育児(三人姉妹で二人は双子)に対峙する男の日々

プロジェクトに困る!(主夫篇)<育児を仕事のプロジェクトとして考えてみた>

「育児はでかい仕事かもしれない」

 

困ったことがあった。

 

僕には言われてもいないことの反論を考える妙な癖がある。ボクサーがシャドウボクシングをするように、シャドウ議論をしているのかもしれない。でも、僕は論客でもないし、議論で誰かを論破したいとか思っているわけでもない。

 

最近はあまり聞かないけれども、少し前までは、家事や育児をする男性に対して批判的な発言や態度は多かったと思う。今でも、育児をしていると、「ママ」が中心のように語られるのは変わらない。

 

「働くママを助けたい」みたいな発言は、もちろん、助けたいということであるし、育児しながら働くママは困ることも多いから、それはそれで助けてくれればいいんだけれども、育児をしながら働くパパもいる。

 

働くということを考えるとき、収入が多いとか、大きなプロジェクトに関わっているとか、そういうことで、その仕事が大変なのか、そうでないのか、というのを推しはかる人たちがいる。

 

そのことを否定するつもりもない。人もお金もかかる大きな仕事をするのは時間的にも、労力的にも大変だろうから、大きなプロジェクトを成功に導くために粉骨砕身の努力をしているということもあるんだろう。

 

社会的インフラを整備したり、人の命を救ったりするのは、多くの人の役に立っている仕事だとも思う。

 

家事はどうだろうか。家事はどの程度の大きな仕事だろうか。掃除をし、洗濯をし、食事を作る、大きく分ければこの三つだ。家庭のインフラでもあるし、衛生面からすれば病気などから家庭を守るために行っている。また、火事などもおきないようにしているし、日頃から住む家をメンテナンスすることは災害に対する備えのようなものでもある。

 

ただ家事は、お金に換算されない仕事だし、一人で行っていることが多いため、時間や労力を示すことができない。ハウスキーパーなどにお願いしてみたとして、と見積もりを出すことはできるだろうが、そういうこととは何か違う気もする。

 

「何億円のプロジェクトを今やっているんだ!」とか「経済効果が何億円ある仕事」とか、何億円というなかなか想像しづらい金額でありながら、なんか大きなことをやっている感じがする仕事もある。お金に換算できる仕事をしていると、お金が大きければ大きいほど、周囲だけじゃなく、家庭に対しても大きな顔ができると思っているかもしれない。

 

「いま会社で大きなプロジェクトをしているから、家事や育児はできない」

 

これが今回の僕の対戦相手だ。

 

「それは何億円のプロジェクトなのですか?」

 

「10億円だ、5人のチームで動かしている」

 

「一人頭2億円のプロジェクトですね」

 

細かいことはいろいろとあるかもしれないけれども、10億円のプロジェクトをやっていると言ったとき、相当忙しいと思われるだろう。一人頭2億円かもしれないが、それでも2億円の仕事となると忙しいのは当たり前になる。どのくらいの期間とかいろいろとあるかもしれないが、とにかく、まあ、2億円の仕事で威張っている人を想像して欲しい。

 

「日本人一人の平均生涯賃金が2億円くらいらしい」

 

10億円のプロジェクトだとしても、5人に10億円入るわけでもない。会社組織であれば、実際に5人で全てできているわけでもないし、会社の看板があるからできている仕事かもしれない。そんなことを考えると、実際には5人チーム以上だろう。

 

2億円くらい稼ぐ見込みのある子供を育てている育児というものは、ある意味で、2億円プロジェクトをしているようなものじゃないだろうか?

 

また賃金として2億円を得るということは、さまざまな仕事における経費が引かれている状態なのだから、2億円の賃金を得ている人が経済効果として生み出しているのは、少なくとも2億円を超える。

 

仕事が忙しいから育児をしないという人は減ってきたと思うけれども、もし、そういう人がいたら、育児は2億円以上の経済効果を持つプロジェクトであることを説明したいと思う。バタフライ効果はえげつない金額になることが予想できる。

 

そう考えると、仕事どころではない。成人が18歳になるのだとしたら、この2億円以上のプロジェクトの終わりは18年間だ。たいへんな仕事をすることになる。うちは3人いるので6億円以上だ。

 

大きな仕事をして得意満面な人に僕はマウントをとってシャドウを終えた。