いつも困っている

家事と育児(三人姉妹で二人は双子)に対峙する男の日々

手首が痛くて困る!(ボストン篇)<乳児期の双子とミルク、そして僕の手首>

「連続ミルクは地味に効く」(長女2歳3ヶ月、双子2ヶ月)

 

困ったことがあった。

 

双子が生まれると、多くの人から大変でしょう、と言われる。たしかに大変ではあるのだけれども、うちの双子はよく寝るし、夜泣きが止まらないなんてこともない。長女の方が大変だった。

 

長女はあまり寝てくれないし、泣き出すと止まらない。1時間以上抱っこしてやっと泣き止んだと思ってベッドに移すと、また泣き出すというようなことがよくあった。

 

長女のときにはあまり気にしなかったことがある。長女はミルクの飲みがとても良く、すごい勢いで飲み干していた。あまりに早くのんでしまうものだから、月齢に合わせた乳首の交換もゆっくり飲めるように調整しなければならなかった。

 

双子は、ミルクの飲みがとても悪かった。とくに三女はあまり飲んでくれなかった。

 

もしかしたら哺乳瓶が合わないのかもしれないといくつか試してみたけれども、どの哺乳瓶も大差なかった。試行錯誤しながらミルクをあげていた。

 

妻が授乳してもあまり飲まない。吸う力が弱いのかもしれない。

 

病院で使っていた液体ミルクはそこそこ飲んでいたので、同じ液体ミルクを買って、同じ乳首を使っていたが、これも徐々に飲みが悪くなってきた。それに液体ミルクは値段が高かった。双子を育てていると、ミルクとオムツの費用が大変なことになる。

 

時間をかけてゆっくりと飲ませるしかない。

 

しかし、ここも双子問題で、1人であればゆっくりと飲ませることもできるが、もう1人いると、そうもいかない。1人に飲ませているともう1人が泣き出すこともある。空腹で泣いている赤子はかわいそうなもので、泣き声を聞いていると落ち込んでくる。

 

僕はベビーベッドの横に座椅子を配置して、両膝を立てて座る。太ももの間に薄いクッションを置いて、そこに双子の1人を置いて右手でミルクをあげて、左手でもう1人を揺らしたり、さすったりしていた。ミルクの飲みが悪くなってくると、抱っこするように左腕に頭を乗せて、右手でミルクをあげる。これでうまくいっていた。たまに、吐き戻したり、ベッドにいる方が泣き止まなかったり、ものすごい音を立てて異臭を出すこともある。そのときそのときで僕もパニックになる。

 

双子のミルクやりは大変だったが、慣れてくるとやりがいのある仕事になっていた。ベッドの横には僕がすぐにミルクがあげられるように必要なものが配備され、妻からはコックピットみたいと言われる感じになっていた。

 

コックピットには、予備の液体ミルクやガーゼ、お尻拭き、ティッシュ、タオル、オムツ、肌着が用意され、僕の着替えまで用意されていた。1人目に吐き戻しされてもすぐに2人目に取り掛からなければならないので、僕の着替えも用意しておかなければならない。

 

ミルクやりの7割ほどが僕の担当だった。

 

ミルクやりはほぼ完璧になってきた。飲みの悪い三女に対しても時間をかけて、体勢を変えてどうにか飲むようになってきた。どのくらい飲んだのかを記録して、標準的な量を飲むようになって安心してきた。2人にミルクをあげるだけで、1時間30分近くかかることもあった。

 

乳児はミルクを3時間おきに飲む。ミルクをあげるとよく寝る子たちだったけれど、そもそもミルクを飲む時間が長い。新生児の1ヶ月はずっとミルクをあげている感じがした。

 

1ヶ月がすぎ、そろそろ2か月になろうという頃に、僕の両手首が痛くなった。乳児にミルクをあげるだけで手首が痛くなるなんて情けないけれども、痛くなってしまったのだから仕方ない。

 

しかし、僕の手首が痛かろうがなんだろうが、乳児は待ったなしである。それから数ヶ月、手首が痛いまま、ミルクをあげ続けることになった。双子の大変さなのか、ミルクの飲みが悪い子の大変さなのか分からないが、育児は体の各所にダメージを残す。

 

いまでもたまに手首が痛くなることがある。手首が痛くなると、双子にミルクをあげ続けた日々を思い出す。睡魔と戦い、痛みに堪えてミルクを上げた日々を少し幸せなこととして思い出すのは不思議だけれど、ご飯を撒き散らしている双子を見るとミルクをあげたくなることもある。