いつも困っている

家事と育児(三人姉妹で二人は双子)に対峙する男の日々

家賃に困る!(ボストン篇)<ボストンの高い家賃と住環境、なぜか値切れた>

「家賃の値切り方」(長女7ヶ月)

 

困ったことがあった。

 

東京は家賃が高いと思っていた。日本国内で言えば高いのは間違いないんだけれども、ボストンの家賃は予想を超えていた。アメリカでも三番目とか四番目に家賃が高いそうで、ツーベッドルーム(2LDK)だと、日本円にすると30万円くらいは覚悟した方がいい。30万円出したからといって豪華なマンションというわけでもなく、割と質素(ボロ)なところだったり、中心部からは離れていたりもする。

 

妻の仕事でボストンに行くことになったけれども、駐在員じゃないので会社が家賃をもってくれるわけじゃない。駐在員のみなさんは家賃ことなどそんなに気にせずに、住環境を優先で住むところを決めると思うけど、僕たちは家賃を優先的に考えないといけない。

 

企業の人たちが少々お高いところに住むのは別に贅沢なことでもないし、悪いことじゃない。日本基準の最低限とも言える洗濯機などの設備や環境が必要になるのはよく分かる。

 

生活設備の充実と清潔さは、ボストンでは贅沢な住居になってしまう。そして、アメリカの場合、最低限の設備を兼ね揃えた住居は、最低限を満たそうとしただけで、他の豪華な設備までついてきてしまう。アパートにジムやパーティができる空間や、広い庭にBBQのセットまである。これで家賃30万円なら安いと思う人もいるかもしれない。

 

家賃を20万円程度にして、2LDKを手に入れようと思うと、車が必須になる場所か、遠くから電車やバスで乗り換えて通う辺鄙な場所になる。ボストン近郊、20万円以下、2LDKという条件ではほとんど見つからないだろう。見つかったとしたら、運がいいか、ボロいはずだ。

 

妻の職場の近くに家賃20万円以下の物件を見つけた。相当ボロかった。隙間風もひどそうだし、入り口の階段は狭くて急だった。ジブリの映画にでも出てきそうなボロさで、子供を育てるには少し不安があった。しかし、ここしかない、そんな気持ちになった。家主は気さくで部屋はどんな風に使ってくれても構わないということだった。ガスの匂いが気になった。

 

そこに行く前にもいくつか見ていた。綺麗だけれども半地下で、日当たりは悪く、雪が積もったらどうするんだろうと思えるようなところでも、予算を軽く超えていた。仲介人からは、君が日本語を教えればいい稼ぎになるから予算のことは気にするな、とか言われた。他にも何件か見たけれども、ボロくても予算を超えてしまった。

 

洗濯機がなくても、25万円くらい出せるなら見つかるだろう。学生などは10万円くらいの家賃のところや、ルームシェアなどをして8万円くらいに抑えてどうにかしている。東京の学生で10万円の家賃だったら実家が太いと思われる。物価や学費が高いボストンにいる学生はだいたい実家が太いからボストンでも同じだけれども、ボストンにいる実家が太い学生は20万円以上の家賃のところに住んでいる。

 

ボロいアパートで汚いし、臭いし、危ない、だけど17万円弱の家賃は魅力的、そして近所に住む家主が気さくで感じもいい。妻の職場まで歩いて10分かからない。周囲の雰囲気もいい。もうここにしようか、と覚悟を決めた。

 

アメリカではその場で決めて、手付金みたいなものをすぐに払って1日か2日後に契約となる。家主に契約したいといって、手付金は? と聞くと、手付金はいらないから、一週間くらいで引っ越してくれればいいと言われた。

 

その日、もう一件見に行くことになっていた。家主には次に行くところが気に入ったらごめん、と伝えておくと、気にするな、ということだった。古き良きアメリカを感じた。

 

次のところは、妻の職場まで歩いて20分以上かかる。冬のボストンを考えるとあまり乗り気じゃなかった。外観はややボロいけれども、前のところに比べたら綺麗。

 

部屋はリフォーム中だった。そしてエレベーターがあった。ベビーカーを使う我々からすれば、エレベーターは十分な決め手。

 

仲介人とベランダに出て家賃の話をした。「2000ドルだっけ?」と聞いた。仲介人は緊張した面持ちで、家賃を訂正してきた。ここの家賃は2100ドルだった。家賃を勘違いしていたと言おうとして、勘違いって英語でなんて言うんだろう、とか思っていると、無言の圧力になっていたらしく、仲介人が「勘違い」した。家主に2000ドル交渉でする、と言い出した。

 

結果、100ドル安くなった。

 

そして僕たちはここに住むことになった。ボロい方のアパートのおっちゃんにはその日のうちに断りのメッセージもして「気にするな」という返事をもらっていたけれど、二週間くらい経ってから、「うちのアパートに住むんだっけ?」とメッセージがあった。違うところに住んでいると伝えると、祝ってくれた。