いつも困っている

家事と育児(三人姉妹で二人は双子)に対峙する男の日々

チップに困る!(ボストン篇)<アメリカに来た!>

「最初で最後のタクシー」(長女5ヶ月)

 

困ったことがあった。

 

どうにかこうにかボストンの空港に着いた。もう空は暗くなっていた気がする。

 

いま考えれば着いた日くらいはホテルで一泊すれば良かったかもしれないけど、倹約せねば! という熱い思いもあり、ホテルで一泊など考えてもいなかった。乳幼児を連れてホテルに泊まるのはそれなりに大変ということもあり、倹約だけじゃなくホテルは選ばなかったのかもしれない。

 

アメリカのホテルでベビーベッドをお願いすると、折りたたみの四方が囲まれただけのものが出されることがある。そこにはマットレスも布団もなかったりするもんだから、結局、ベッドで乳児と寝ることになる。乳児を押し潰さないかとても不安だし、布団が顔を圧迫してしまうんじゃないかとか、そんなこんなが気になる。

 

きっとそういう判断もあって、ホテルは泊まらなかったのかもしれない。簡易ベビーベッドも手荷物で持ってきていたことを、これを書きながら思い出した。やっぱり、ホテルに泊まらなかったのは倹約だったかもしれない。あの頃の思い出の多くがぼんやりだ。

 

エアビ(Airbnb)で長期滞在を予約していた。2ヶ月間の長期滞在だととても安く借りることができた。ボストンの高額な家賃を考えれば、相場以下だった。2ヶ月の間にボストンライフを満喫できるアパートを探す予定。

 

あとで家主に聞いたら、奥様が妊娠中で、産後はその家に住む予定だからそれまでの期間限定で貸すことにしていた、とのこと。ちなみに、家主は筋肉ムキムキで私たちに宛に東京から出した航空便を軽々と運んでくれた。

 

場所は、モールデンというところ。ボストン郊外。

 

空港からタクシーに乗った。ボストン滞在で最初で最後のタクシー。タクシーの中は独特の甘ったるい匂いがして、運ちゃんはそこそこキマっていた。

 

日本ではウーバーというとウーバーイーツだけれども、アメリカでは配車サービスとしてのUberが一般的。当時、日本でUberはあまり知られておらず、私たちも知らなかった。

 

空港だと混雑してややこしいからUberは空港からは使えないことが多いとも後で言われた気がする。いまはどうなんだろ。

 

Uber以外の配車サービスはLyft(リフト)を使った。Lyftの方がクーボンが多かった気がする。アメリカに来る人はリフトも使うといいかもしれない。

 

タクシーのキマっちゃってるおっちゃんからいろいろ話しかけられたけど、英語にも慣れていないし、おっちゃんも口のしまりが悪くなっているもんだから、何言ってるか分からなかった。ボストン訛りというのもあるらしい。このときは何が訛りで何がキマっちゃってる口調か区別はつかなかった。

 

そんなおっちゃんに不安になった妻は、すぐにスマホを出して目的地の地図を出していた。案の定、おっちゃんは目的地周辺でウロウロした。地図を見せて無事に着いた。

 

荷物を出して、サンキューしておっちゃんとお別れしようとしたら、なんか言ってる。お金はクレジットカードで払ったと思うけど、なんか金くれみたいな感じなのは伝わった。

 

どうやら、チップをくれと言っているようだった。

 

成田で現金もいくらか必要になるだろうと思って両替をしていた。アメリカ用の財布、日本用の財布、それにパスポート入れやら混じりあって何がなにやら分からなくなってパニクってたら、小銭入れがあった。そこには以前、妻がアメリカに滞在していたときの小銭を入れておいた。

 

よく分からないから10枚くらい渡した。1ドル硬貨もあったと思うけど、25セント硬貨ばかりだったと思う。おっちゃんは困った顔をしながら数えて、これでいい、みたいになってバイバイって手を振った。

 

おっちゃんは私たちが家の中に入るまでライトで照らしてくれて、そして家に入るのを見届けてから去っていった。男前なことするおっちゃんだった。臭かったけど。